吉松隆/交響曲第4番 ほか(Chandos CHAN 9960)



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Tower@jp : 吉松隆: 交響曲 第4番, トロンボーン協奏曲


最高傑作 交響曲第4番!

人気作曲家、吉松隆氏の最新ディスク。
吉松隆といえば、「朱鷺に寄せる哀歌」「交響曲第2番<地球にて>」などの傑作が印象に残っています。
いっぽう、1999年にリリースされた「交響曲第3番」は、迫力はあるんだけど
CDで聴く限りでは、なんだかコケオドシ的な印象で、個人的にはちょっとがっかりでした。
併録のサキソフォン協奏曲「サイバーバード」はかっこよかったですけどね。


さて、交響曲第4番(2000年)は一転、軽やかで叙情的、とてもロマンティックな音楽です。
演奏時間も、第3番が45分の大曲だったのに対し、28分50秒と、こじんまりしています。
ベートーヴェンとかマーラーの第4番を連想しちゃいますね。

作曲者はこの曲について、”Pastral Toy Symphony” だと、ライナーに書いてます。

第1楽章などまさにそのとおり、「吉松印」のかわいらしいモチーフが次々に登場、
春の草原に機械仕掛けの鳥や、木製の操り人形ブリキの兵隊などが遊び、楽しくもちょっぴりグロテスクな子供時代の夢を現出させます。
部分的にはラヴェル、シベリウス、マーラー、プロコフィエフなどを連想させながら、日本的情緒も適度に盛り込み、
吉松隆にしか書けないオリジナリティが横溢する幻想的メルヘンワールド。
 

第2楽章はワルツ。
中間部ではベルリオーズの幻想交響曲ベートーヴェンの第9の第2楽章、ラヴェルのラ・ヴァルスなどが引用されます。
洒落てるというか、機知に富んでいるというか、音楽に詳しければ詳しいほど面白がれるのでしょうが
何も知らなくても十分楽しめるメルヘンティックでファンタジックな楽章。
 

第3楽章、弦楽のみによって開始されるアダージェット、といえば、まるっきりマーラーですが、
やがてハープならぬピアノが登場し、リチャード・クレイダーマン風になったかと思うと、弦による分厚い嘆きの歌が続きます。
ここまでもろにロマンティックしていいんだろうか、と思っちゃうくらいロマンティックな音楽ですが、
この世界に首までどっぷりつかるとなんとも心地よいこと。
 

第4楽章は、初期の名曲「デジダルバード組曲」を思わせるテーマによるロンド。
雰囲気は第1楽章のそれに似て、一面に花開く春の草原のよう。
色とりどりの花の間をデジタルバードが縦横に翔びまわる風景、といった感じでしょうか。
最後は夢見るように全曲を閉じます。
 

超ユニークで超ハッピーなシンフォニー。
こういうの大好きです! 

 名曲!傑作!超オススメ!


併録のトロンボーン協奏曲「オリオン・マシーン」は、かなり現代音楽っぽいですが、
ロックやジャズのテイストもまじえた、なかなか面白い音楽です。
でも交響曲第4番の後に続けて聴くと、ちょっと地味な印象はまぬがれません。

最後におさめられた「アトム・ハーツ・クラブ組曲第1番」(弦楽合奏版)は、
「サージェント・ペパーズ」、「タルカス」、「原子心母」、「こわれもの」といった
プログレッシヴ・ロックの名盤に触発された作品だそうで、大変ノリの良い弦楽合奏曲です。
同時に、20世紀に作られた弦楽合奏の名曲たち、
たとえばホルストのセント・ポール組曲や、ブリテンのシンプル・シンフォニーを思い起こさせるので、イギリスではきっと受けるでしょうね。

 

このCD、吉松隆ってどんな音楽かな、と思っている人に安心しておすすめできる一枚でしょう。
最初に聴くならこれか、または「交響曲第2番<地球にて>」、「ギター協奏曲<ペガサス・エフェクト>などを収めた CHAN 9438かな。
こちらは吉松隆のシリアスっぽい作品を集めた一枚です。いいですよ〜。

それにしても吉松さんて、映画音楽は書かないのでしょうか。
絶対素晴らしいスコアを書いてくれそうなんですが・・・ それとも映像を食っちゃうかな。

(02.1.4.記)


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