ペトリス・ヴァスクス/プレゼンス〜チェロ作品集
(ソル・ガベッタ:チェロ 2015)



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<曲目>
チェロと弦楽オーケストラのための協奏曲第2番「プレゼンス」
チェロとオルガンのための「音楽の夕べ」
無伴奏チェロのための「The Book」



天国のチェロ


娘たちが帰省してきました。
ピアノが好きな長女は、久しぶりにピアノに触れて喜んで弾きまくってます。
こうなるとチェロは弾けません。
隙を見てちょっとでも練習しようと音を出すと、

  「ピアノの邪魔!」 「相変わらず音程わるいね!」

と、一刀両断です。
褒めて伸ばしてほしいんだけどなあ〜、ギコギコ。
仕方ないので、美しいチェロの音色を満喫できるCDでも聴きましょう。

 ペトリス・ヴァスクス/プレゼンス〜チェロ作品集

ラトヴィア生まれの作曲家、ペトリス・ヴァスクス(1946〜)。
これまでに、「弦楽のための作品集」 「弦楽四重奏曲第4番」を取り上げたことがあります。
この人の作品、「美しいにもほどがあるっ!」と言いたくなるほど耽美・流麗・哀切・浪漫・純粋・透明。
でも白痴美ではありません、甘いだけではありません、一本芯の通った厳しい音楽です。
自然の美しさ、生命の尊さに対して祈りと尊敬を捧げているような印象を受けます。

そんなヴァスクスのチェロ作品集。
予想どおり、チェロの柔かく深い音色を1時間にわたって存分に味わえます。
現代音楽ですが、静かな曲が多く、美しく緊張に満ちていて聴きやすく、退屈することはありません。
もちろんBGM的に聞き流してもかまいません。
音のアロマに包まれて、気持ちよくリラックスできるでしょう。
こたつや布団に入ってこのCDかけたら、5分で熟睡です。

 天国にチェロが流れているとしたら、きっとこういう感じでしょう。

 チェロと弦楽のための協奏曲第2番「プレゼンス」
 

「チェロ協奏曲第2番”プレゼンス”」は、チェリスト ソル・ガベッタの依頼により作曲されました。
ガベッタは、以前からヴァスクスの作品を熱心に演奏していて、
とくに「無伴奏チェロのための"The Book"」は、アンコールの定番。
この曲には、チェロを弾きながら歌う箇所があります。
ガベッタはチェロ協奏曲にも歌う箇所を入れるよう希望、曲の最後の部分で天使のように子守唄を歌います。
いい声です、歌上手いです、ガベッタのカラオケ聴いてみたいです。
なお"The Book"は新録音ではなく、エルガーのチェロ協奏曲のボーナスCDに収録されていたもの(2009録音)と同じです。

 無伴奏チェロのための「The Book」より
 

「チェロとオルガンのための”音楽の夕べ”」は、もとはホルンとオルガンのために作曲されましたが、
のちに作曲者自身によってチェロとオルガンのために編曲された作品。
ヴァスクスはチェロ・ヴァージョンのほうがお気に入りだそうです。
オルガンのたっぷりした響きに支えられて、チェロが朗々と歌う12分ほどの曲。
神聖でピュアな印象を受けます。

(2015.12.30.)

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