エルガー:チェロ協奏曲、愛の挨拶、
ドヴォルザーク:森の静けさ、レスピーギ:アダージョと変奏、他
 
(ソル・ガベッタ独奏、ヴェンツァーゴ&デンマーク国立放送響)



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「ジャクリーヌ・デュ・プレの再来」とも言われる若手チェリスト、ソル・ガベッタ
ご本人は、そう呼ばれることに複雑な気持ちもあるようですが、ひらきなおったのか、それとも確固たる自信の表れか、
ついにデュ・プレが得意としたエルガーチェロ協奏曲をリリースしました。

さて、「滅びゆく王国の最後の女王」のような、気高さと哀愁をたたえたこの作品。
デュ・プレ/バルビローリは炎の情熱と厳しさを感じさせる名演ですが、
ソル・ガベッタの演奏は高貴かつ流麗、秋の落日のような叙情が心に沁みます。
甘くてツヤツヤした音を予想していましたが、むしろ芯の通ったしっかりした音色、このほうが曲調に合っていますね。
急速な部分では左手が指板を叩く音が大きく入っていて、聴くほうも思わず力がはいります。
繊細さと豪快さを兼ね備えた名演ではないかと思いました。

 冒頭部分(サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルとのライブ)
 

 第4楽章
 

余白にはエルガー「愛の挨拶」、ドヴォルザーク「森の静けさ」などがおさめられています。
とくにレスピーギ「アダージョと変奏」という曲には魅了されました。
牧歌的な主題が複雑に華やかに変容してゆき、クライマックスを経て消え入るように終わります。
物語を感じる曲で、チェロは語り部か吟遊詩人というところか。 
これは隠れた名曲ですねえ。

 レスピーギ:アダージョと変奏
 

ボーナスCDには、ラトヴィアの作曲家ヴァスクス無伴奏チェロのための「The Book」が収められています。
現代音楽ですが、そこはヴァスクス、前衛的・刺激的でありながら美しい響きに満ちています。
もちろん超難曲、ソル・ガベッタの超絶技巧を心ゆくまで堪能できます。
チェリストが弾きながら歌う箇所もあるのですが、ソル・ガベッタ、たいへん美しい声です。
これまた名曲、すっかり気に入りました。

 ヴァスクス:無伴奏チェロのための「The Book」
 

(10.5.8.)





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