先日、エルガーのチェロ協奏曲のCDがとても良かった若手チェリスト、ソル・ガベッタ。
ほかの録音も聴いてみようと、2008年にリリースされたショスタコーヴィチのアルバムを買ってみました。
チェロ協奏曲第2番とチェロ・ソナタ。
し、渋い、渋すぎる・・・。
第1番ならまだしも、わざわざ地味な2番の協奏曲ですよ!
若いに似合わず渋好みなのか。
やはりただものではないですねソル・ガベッタ。
ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第2番(1966)は、いちおうロストロポーヴィチ/小澤のCDを持ってますが、
すいません、ろくに聴いてません。
今回、ガベッタの演奏できちんと聴いてみますれば、なんとも不思議な曲。
深刻な話をしていたかと思えば、突然へらっと笑って「なんちゃって〜」とか言いながら、向こうへ行ってしまうような音楽です。
重厚で堂々たる部分と、軽薄でふざけた部分がモザイクになっています。
一体何が言いたいのだろうこの曲は?
空虚な空騒ぎに隠れて、実は深遠な哲学を語っている?
第2楽章 アレグレット
まあ、当時の作曲者が置かれていた状況を考えると、はっきりした主張のある音楽を書くことは危険ですらあったわけで、
自然、ごまかしたり、はぐらかしたり、ふざけたり・・・ということになってくるのでしょうか。
あんまり謎めいた曲なので、つい何度も聴いてしまいました。
そのうちに、だんだん名曲に思えてきました(←洗脳されてる)。
チェロ・ソナタ(1934)は若いころの作品ですが、ロマンティックで美しいですねー。
ショスタコーヴィチというより、ラフマニノフとプロコフィエフの幸福な結婚(←リアルに想像しないように)のようです。
ラフマニノフが手を加えたんじゃないかと思うような第一楽章。
短いけどエネルギッシュなプロコフィエフ風スケルツォの第ニ楽章。
(このCDの演奏ではありません)
第三楽章は悲しい祈りのようなラルゴ、これまたラフマニノフ風にロマンティックです。
フィナーレは皮肉っぽい主題による自由なロンド、中間部分の暴力的な盛り上がりが素晴らしいです。
転げ落ちるようにあっけなく終わるのがまた皮肉っぽい。
(このCDの演奏ではありません)
演奏に関して、なんだかんだ言う資格はありませんが、大満足の一枚でした。
渋好みのあなた、ぜひ聴いてみられては。
(10.6.12.)
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