アルビノーニ/後期ヴァイオリン・ソナタ集(2枚組)
(フェデリコ・グリエルモ:バロック・ヴァイオリン ラルテ・デラルコ 2019録音)



Tower : Albinoni/The Late Violin Sonatas


20世紀の偽作である「アルビノーニのアダージョ」がいまだに代表作扱いされている不憫な作曲家 トマゾ・アルビノーニ(1671〜1751)。
彼の「後期ヴァイオリン・ソナタ集」と題された2枚組CDが出ました。
作品番号はついていません。

 「なんじゃこれは?」

好奇心にかられて買ってみました。

1717年にアムステルダム1742年にパリでそれぞれアルビノーニの名前で出版されたヴァイオリン・ソナタ集です。
しかーし、どちらも偽作の可能性大なんだとか。
少なくとも1曲はジョヴァンニ・バッティスタ・ティバルディという作曲家の作品であることがすでに明らかになっているそうです。

当時は楽譜を売るために人気作曲家の名前を拝借するのはよくあることで、いちばん有名(?)なのはハイドンの「弦楽四重奏曲集 作品3」でしょう。
もちろん名前を借りた作曲家に報酬は払われません。
アムステルダムやパリで何を出版しようとヴェネツィアに住むアルビノーニにはわかりませんからね。

なお、1742年にパリで出版されたソナタ集には「アルビノーニの遺作」と書かれていたそうです。
アルビノーニ、1751年まで生きてたんですけど。
無断で名前を使われたうえ勝手に殺されちゃうとは・・・やっぱり不憫です。

というわけで「偽作かあ・・・」とたいして期待せずに聴きはじめると、

 ソナタ第1番 ニ短調 第1楽章・アダージョ (緊張感に満ちた重々しい前奏曲)
 

 なにこれ!

滅茶苦茶恰好いい曲なんですけど!

 ソナタ第1番 ニ短調 第2楽章・アレグロ (鋭いアタックが印象的なたくましいアレグロ楽章)
 

上品で伸びやかなメロディ、かすかに愁いを帯びた流麗な音運び。
ちょっと待ってくださいよ、これホントに偽作なんですか?
解説を読むとアルビノーニの真作が含まれている可能性もあり、研究中らしいです。

 ソナタ第2番 ト短調 第4楽章・プレスト (めまぐるしい無窮動楽章)
 

フェデリコ・グリエルモ率いるラルテ・デラルコのシャキッとエッジの立った演奏の良さもあいまって、
ヴィヴァルディやコレルリの最良の作品と比べても遜色のないハイレベルなナンバーの連続。

 ソナタ第3番 イ長調 第4楽章・アレグロ (晴れ晴れとした明るいアレグロ)
 

1742年の「遺作」とされたソナタ集も同様で、とっても耳に心地よいバロック・ソナタです。

 ソナタ第1番 ヘ長調 第2楽章 アルマンド (小鳥がさえずっているような可愛らしい舞曲)
 

あのー、やっぱりこれ真作なんじゃないですか?
それともヴィヴァルディの知られざる作品とか。

 ソナタ第2番 イ短調 第4楽章 ヴィヴァーチェ (何かに追われるような焦燥感と緊張感に満ちた楽章)
 

まあ真作だろうが偽作だろうが良いものは良いのでありまして、大変気持ちよく聴きました。
やっぱりアルビノーニは最高だなあ(←いや偽作・・・)。

 ソナタ第6番 イ長調 第1楽章 (アダージョの歌とプレストの分散和音が交代する前奏曲。アルビノーニよりも前期バロックっぽい雰囲気がします)
 

(2022.04.03.)


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