アルビノーニ/教会ソナタ集 作品4
(アド・コルダ)




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Tower@jp : Albinoni: 6 Sonate da Chiesa Op.4


ヴィヴァルディと同時代、同じ町ヴェネツィアで活躍した作曲家・トマゾ・アルビノーニ(1671〜1751)のトリビア。


  なんと、アルビノーニには「作品4」がふたつあります!


 ・・・場内、シーン・・・


 ・・・えーと、みなさん、・・・興味ないですよねえ、やっぱし。



めげずに話を続けますと、
もともとアルビノーニの「作品4」は「カンタータ集」つまり「歌もの」で、1702年にヴェネツィアの出版社から出版されました。

 アルビノーニ:カンタータ集 作品4より第11番
 

しかし1711年に、オランダの出版社がアルビノーニの作品を出版するときに、

  「イタリア語のカンタータねえ・・・、オランダやドイツでは売れないんだよね」

ということになり、作品4は「教会ソナタ集」に差し替えられたのです。

 

この「ソナタ集」はよく売れて、イギリスなど他国でも出版され、広く愛好されました。
オランダの出版社の目は確かでした。
しかし著作権という概念がなかった当時、アルビノーニの懐がどれだけうるおったかは不明です。


同時代に同じヴェネツィアで活躍したヴィヴァルディにくらべ、
哀しいくらい録音に恵まれないアルビノーニですが(「アルビノーニのアダージョ」はアルビノーニの作品ではありません)
このたび「教会ソナタ集 作品4」の新録音が、ブリリアント・クラシックスから出ました!
これを機にアルビノーニがもっと聴かれるようになるといいなあ。

なお「教会ソナタ」は、べつに宗教的な音楽ではありません。
緩・急・緩・急 の4楽章からなるバロック・ソナタをこう呼びます。

まあなんというか大変に趣味の良い演奏です。
ヴァイオリンの艶やかな歌を、チェロ、テオルボ、リュート、ハープシコード、オルガンの通奏低音が優しく包み、
「天使の音楽」と呼びたくなる上品な響きを作り上げます。

ニ短調、ホ短調、ヘ長調、ト短調、ト短調、ロ短調 と、6曲のうち5曲が短調なのですが、暗さはなく、むしろ「幸福な哀愁」みたいなものが漂ってきます。
この洗練された優雅さコレルリ「ソナタ集 作品5」にも引けをとっていないのではないでしょうか。

 「アルビノーニだかクラリーノだか知らないけどべつに興味ないです」

という方も、ためしに聴いてみて損はないんじゃないかと。

(11.9.24.)


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