山下剛/もう一人のメンデルスゾーン
ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼルの生涯

(未知谷 2006年)



Amazon.co.jp : もう一人のメンデルスゾーン


木曽:えー、このたび、フェリックス・メンデルスゾーンのお姉さん、
   ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼルさんの、日本語による初の評伝が出版されました。

ファニーニホン? ヤーパンのこと? おお、そのような東洋の小国で・・・。 私って人気あるのね。

木曽:い、いやぁ・・・。 はっきり言って、いまだに無名というか、誰も知らないというか・・・。

ファニー:なんですってえー?!

木曽:あ、いえいえいえ、これからじわじわっと人気が出ると思いますですよ、はい。
   ファニーさんの生涯に関してはこちらをご参照いただきましょう。
   弟の影に隠れながらも葛藤に満ちたその人生は、映画や小説の良いネタになりそうですが、
   いまのところ「知る人ぞ知る」レベルにとどまっていますね。

ファニー:オファーがあれば、いつでもご相談にのりましてよ。

木曽:さてこの本は、ファニーさんを中心に据えつつ、メンデルスゾーン家の人々や、夫となる宮廷画家ヘンゼル
  そして友人たちの姿を生き生きと描くことで、19世紀前半のドイツ・ブルジョワジーの雰囲気をリアルに伝えてくれます。
  図版や書簡も豊富で、いままでファニーさんを知らなかった方でも、興味を持って読めると思います。

ファニー:なんだか私生活を覗かれるみたいで気に入らないわねえ。

木曽:ま、偉大な芸術家の宿命ということで・・・。 ところでクララ・シューマンとは、本当に友達だったんですね。

ファニー:親しくなったのは死のわずか1年前、1846年だけど、日曜音楽会で共演もしたわよ。

木曽:クララも、ファニーさんのピアノの腕前には舌を巻いたそうですね。

ファニー:でも残念ながら作曲にはあまり興味を持ってくれなかったわ。
  ロベルトフェリックスがどれほど偉大な作曲家だろうと、遠慮することはないのに。

木曽:個人的には、1829年の「マタイ受難曲」蘇演の様子や、
  1839〜40年のイタリア旅行が細かく書かれていて、
  このあたりがとても面白かったです。

ファニー:あなたってマニアックねえー!!

木曽:いやあ、ご本人にそう言われるとリアクションに困りますが、資料的価値も高くて、良い本だと。
  作品紹介が歌曲中心で、器楽曲、とくに私の好きなピアノ三重奏曲に関する記述が少なかったのがちょっと残念ですが、
  でもおかげでファニーさんの歌曲に関する理解がずいぶん深まりました。

ファニー:私の本領はやはり歌曲ということになっているのね・・・。
  もっと長生きして、交響曲や協奏曲やオペラを作りたかったわ。

木曽:いまからでも甦って書いてくださいよ。 恐山のイタコか降霊術師でも使って。

ファニー:いきなりオカルトに落とすなー!

(06.9.16.)


ファニー・メンデルスゾーン:メロディ 嬰ハ短調 作品4−2


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