ジェミニアーニ/6つのチェロ・ソナタ 作品5
(Jaap ter Linden, チェロ Lars Ulnik Mortensen, チェンバロ)



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フランチェスコ・ジェミニアーニ(1687〜1762)は、バッハやヘンデルと同世代のイタリアの作曲家でヴァイオリニスト。
ローマでアレッサンドロ・スカルラッティアルカンジェロ・コレルリに師事したあと1705年にナポリでヴァイオリニストとしてデビュー。
ヴィルトゥオーゾとして評判になり1714年にはロンドンに招かれます。
ロンドンにはドイツからやってきたゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルがいて、1715年にふたりはジョージ一世の前で御前演奏も行いました。
ジェミニアーニは、そのままイギリスを本拠地として一生を終えます。

その後ヨハン・クリスチャン・バッハヨーゼフ・ハイドンもイギリスに渡って一旗揚げますが、彼らの先駆けといえます。
当時のイギリスは経済大国で市民階級が台頭しつつあり、ビジネスチャンスがあったんですね。

ジェミニアーニはヴァイオリニストだったので作品はヴァイオリン曲が中心ですが、例外的に作品5は「6つのチェロ・ソナタ集」(1746)。
これがまた、しみじみと良い曲なのです。

全曲


まあ、「地味ニアーニ」だけに派手さはないですが(←山田くん、二枚もっていきなさい)、
平穏な美しさ、柔らかなメロディ、超絶技巧を要求しないところなど(いや私は弾けませんが)、いかにもコレルリの弟子らしいセンスの良さが匂いたちます。
おそらくチェロをたしなむブルジョア紳士が楽譜を買い求め、暖炉の前でギコギコいわせて家族に迷惑がられたことでしょう。

このCDは、ジャケットにはなぜかクレジットされていませんが、Judith Maria Beckerというチェリストも参加していて、通奏低音を担当しています。
つまり、チェロ二重奏+チェンバロという編成になっていて、奥行きのある深い響きがとても魅力的。

もしもコレルリがチェロ・ソナタを書いていたらこんなだったかも。
ヴィヴァルディのチェロ・ソナタと肩を並べるに値する名品だと思います。


ソナタ第6番 イ短調 第3楽章
(フランス風の優美な舞曲)

(2020.08.22.)

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