アレッサンドロ・スカルラッティ/チェンバロのためのトッカータ集
(リナルド・アレッサンドリーニ 1991録音)




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ドメニコ・スカルラッティ(1685〜1757)といえば、チェンバロ・ソナタを550曲も書いたことで有名な作曲家。
彼のソナタはノリが良くて洒落ていて、テンション高く活気にあふれ、現代でもピアニストやチェンバリストの重要なレパートリーです。

ところで、そのノリの良さのルーツは父親であるアレッサンドロ・スカルラッティ(1660〜1725)ではないかと私は思うのです。

論より証拠、アレッサンドロ・スカルラッティの「トッカータ ニ短調」(1723)をお聴きください。

トッカータ ニ短調


演奏時間19分40秒というところからして頭おかしいですが、印象的なパッセージの連続、狂騒的なバカ騒ぎ、異様な熱気、リズムの饗宴、ほとばしるパッション、まったく退屈しません。
踊り狂ったかと思ったら静かになり、優しく歌ったかと思えばまた走り出し、途中から「ラ・フォリア」のヴァリエーションが始まり、最後は「ラ・フォリア」のメロディで静かに幕を閉じます。

 なんなんですかこれは?!

自由さと大胆さが際立っています、ぶっ飛んでいます。
これはロックです、それもプログレッシブ・ロックです、いやむしろ現代音楽です、芸術は爆発です、キング・クリムゾンも口あんぐりです。
300年も前にこんな音楽があったのかと、めまいがします。
はっきり言って息子より斬新で、 これに比べればドメニコの作品なんて実に穏当・真っ当・平穏無事と言えます。

このCD、リナルド・アレッサンドリーニの水際立ったハイ・テクニックもあって、アレッサンドロ・スカルラッティの奇天烈さと恐ろしさを存分に伝えてくれます。

トッカータ ト短調
(←これまたほとばしるパッションが半端ない!)

トッカータ ト長調
(←明るく晴れやかな曲)


アルバムの最後は「二つのフーガ ニ短調」
半音階進行の凝った主題による複雑で幾何学的なフーガ。
J・S・バッハのフーガを予言しているようにすら思えるのですが・・・。



じつはアレッサンドロ・スカルラッティの本領は声楽曲にあり、150曲のオラトリオ、720曲のカンタータ、115曲のオペラを書いたそうです。
・・・ケタ間違えていませんか、この数。

器楽曲はむしろ少ないそうですが、こんな妙な曲を息子みたいに数百曲も量産されたら、そりゃたまりませんわ。
底知れなさと得体の知れなさを持つ、恐ろしい作曲家だと思いました、くわばらくわばら。

(2020.08.23.)

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