モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ集
(エンリコ・ガッティ/ローラ・アルヴィニ 1997録音)
ARCANA A406




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質の高い古楽のディスクを、コンスタントにリリースしているレーベル、ARCANA
これはエンリコ・ガッティのヴァイオリンとローラ・アルヴィニのフォルテピアノによる
モーツアルトのヴァイオリン・ソナタ集(2枚組)です。
収録曲は、K.301〜306の6つのソナタと、変奏曲が2曲。
このエンリコ・ガッティ、オリジナル楽器のヴァイオリニストのなかで、いま最も気に入っている人です。

最近リリースされたオリジナル楽器によるモーツァルトのヴァイオリン・ソナタといえば、
バンキーニ/ヴェッセリノーヴァ盤(HMF)、クロサキ/ニコルソン盤(ERATO)、ビオンディ/トヴェルスカヤ盤(OPUS111)などがあります。
バンキーニ盤は聴いたことがないもののクロサキとビオンディは持ってるので、どうしても比較するような聴き方になっちゃうんですが、三者三様で面白いです。

クロサキ/ニコルソン盤は素直でまっすぐ、元気溌剌、明朗快活。
太陽神アポロンがヴァイオリンを弾けばかくのごとし、といったら褒め過ぎかもしれませんが、やっぱり若い人は、こうじゃなくっちゃいけません。

 ヴァイオリン・ソナタ K.306 第1楽章
 



ビオンディ/トヴェルスカヤ盤 は、張り詰めたような緊張感と、切れ味鋭い音。
トヴェルスカヤとのインタープレイも、「切り結ぶ」という表現が頭に浮かびます。
疾走感あふれる素晴らしい演奏です。

 ヴァイオリン・ソナタ K.306 第1楽章
 



で、ガッティはどうかというと、なんというか、なんだか力が抜けているんです。
いかにも自然体で、キラク〜に弾いているような感じで(本当はどうだか知りませんが)、さらさらふわふわ、春の小川を音符が流れてゆくようです。

 ヴァイオリン・ソナタ K.306 第1楽章 
 

ガッティという人は、以前、SYMPHONIAというレーベルに録音していた頃からファンだったのですが、
彼の演奏、いつも、「楽しそうに弾くなあ、この人」と思ってしまいます。
まだ生演奏や映像に接したことは無いのですが、おそらくニコニコしながら弾いてるのではないかと想像しています。
顔もいいですね。やんちゃ坊主がそのまま大人になったみたいな顔です。
対するアルヴィニですが、一見厳格な女教師タイプ、でも実は結構話がわかるのよ、みたいな感じですね。
彼女が以前、SYMPHONIAに録音したモーツアルトの変奏曲全集(SY 91T03)は素晴らしいCDでした。

モーツァルトのヴァイオリンソナタを聞いてリラックスしたいなら、この演奏でしょう。
ARCANA独特の2枚組型の紙ジャケットも、取り出しやすくて綺麗です。

 ヴァイオリン・ソナタ K.302 第1楽章
 

(01.11.17.記)



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