エンリコ・ガッティ/PRAECONIUM SOLITUDINIS(孤独の使者)(2023)
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バロック・ヴァイオリニスト、エンリコ・ガッティが無伴奏ヴァイオリンの新譜を出したと聞いて即購入!
届いたブツを開けてみると・・・・
「いやこれ本やん」
20枚ほどの幻想的な写真と、詩人や哲学者による50のテキストが収められた、100ページの分厚い表紙の書物に、CDが2枚挟みこまれています。
タイトルはPRAECONIUM SOLITUDINIS(孤独の使者)
プロモーション・ビデオ
心の中で解決されないことすべてに忍耐強くなりなさい リルケ
ガッティは、音楽と写真と文章を組み合わせた作品を作りたいとずっと思っていたそうです。
10人の作曲家の無伴奏ヴァイオリン作品が収められており、
トーマス・バルツァーという17世紀のあまり知られていない作曲家の曲を最初と最後に配しています。
いわゆる有名曲はビーバーのパッサカリアくらいで、バッハのシャコンヌもパガニーニのカプリースにも興味なし。
かと思えばバッハのパルティータやヴァイスのリュート曲をわざわざヴァイオリンに編曲したりしてます。
ヴァイス/幻想曲(ガッティ編曲)
過去を買い戻せるほど裕福な人間はいない オスカー・ワイルド
激しい曲や超絶技巧曲はなく、ゆっくりした瞑想的な曲が続きます。
しかも曲間には鳥のさえずりや水音・波の音などの自然音が挿入され、
森の中や海辺を散策しながらヴァイオリンを聴いている気分になります。
ガッティは、一部の古楽器奏者に聴かれるロックみたいな激しい演奏に否定的です。、
以前リリースしたコレルリのトリオ・ソナタのCDには「遅さ礼讃」と題した長文のエッセイを掲載、
「遅く静かな音楽」への憧れを、当時の芸術家・歴史家・宗教家などの引用をちりばめつつ語っていました
曰く「良いワインはぐびぐび飲むのではなく、一口ずつじっくり味わって飲むべきだ」
そんなガッティの哲学が凝縮した作品なのでしょう。
浮世のしがらみを忘れて、静かに聴き入りたいものです。
私は自分自身を探しました それ以外のものは求めません チェーザレ・パヴェーゼ
(2024.08.18.)
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