ヴィヴァルディ/ヴァイオリン・ソナタ集 作品2 より
エンリコ・ガッティ(ヴァイオリン) アンサンブル・アウロラ



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自由で、軽やかなヴィヴァルディ


陽気な脱力系ヴァイオリニスト(と勝手にイメージしている)エンリコ・ガッティ
相変わらず楽しそうに弾いてます。
「ヴァイオリン弾くのが嬉しくてたまらないのボク〜」と言わんばかりに、
髭ズラでニコニコしながら弾いているのではないでしょうか、きっとそうに違いないです(と勝手に決め付ける)。

それにしても、ヴィヴァルディの作品2とは、渋い選曲。 
偉大なる先人・コレルリの影響を強く受けた、シンプルなヴァイオリンソナタ集です。
それにしても、なんという流麗な演奏。
こんなにも歌心にあふれた素晴らしい曲集だったのかと、認識を新たに。

ところでこのガッティというヴァイオリニスト、非常な「言いたがり」でありまして、
1998年にリリースしたコレルリの作品3のCDでは、「遅さへの崇拝」と題した、架空対談形式の長〜いライナーノートを執筆、
「遅く静かな音楽」への憧れを、当時の芸術家・歴史家・宗教家などの引用をちりばめて、ぺダンティックに語っていました。

今回も、イタロ・カルヴィーノジョージ・オーウェルを引用しながら、
アーノンクールに代表される、鋭角的で鋭い古楽器演奏をやんわりと批判する、長い文章を載せています。

しかし演奏自体は、学問的な堅苦しさとは無縁。
羽でも生えたように自由に飛翔するヴァイオリン、低音をガッチリ支えるチェロ、静かに寄り添うリュートとチェンバロ。
独特の浮遊感ただよう優雅な演奏を繰り広げます。

 

ずいぶん以前にガッティとローラ・アルヴィニによるモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集を取り上げたことがあります。
フワーッと流れるような、良い意味の「軽さ」を持った演奏で、今でもよく聴いていますが、このヴィヴァルディも、勝るとも劣りません。
長く愛聴したいCDがまた一枚増えてしまいました。

愛聴CDの山に押しつぶされる日も近そうです。

(07.2.6.)


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