レーガー/無伴奏ヴァイオリンのための前奏曲とフーガ・全曲(2枚組)
(Mateja Marinkovic 独奏 1994録音) 



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マックス・レーガー(1873〜1916)の無伴奏ヴァイオリン作品なら、いつまででも聴いていられる気がする冬の夜長です。

 なぜかバッハよりもリラックスできるのです。

同じ無伴奏ヴァイオリンでもバッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」は崇高にして至高の名曲、
聴いているとだんだん背筋が伸びてきて、気がつくと正座していたりします(嘘です)。
そこへいくとレーガーは、バッハに範をとっているとはいえ19世紀ロマン派の香りをさらりとまとい優美で甘やか。
ふと気がつくと紅茶に蜂蜜を垂らしてマカロンをかじっていたりします(嘘です)。
もちろん演奏技術的にはレーガーのほうが複雑で難解で妙チキリンなのですが。
バッハの平均律よりもショパンの練習曲集のほうが、技術的には複雑だけど人気があって親しまれているのと同じでしょうか。

実際レーガーは無伴奏ヴァイオリン作品をたくさん作っています。

 4つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品42
 7つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品91

 
無伴奏ヴァイオリンのための8つの前奏曲とフーガとシャコンヌ 作品117
 
無伴奏ヴァイオリンのための6つの前奏曲とフーガ 作品131a
 (ほかに、2つのヴァイオリンのための3つのカノンとフーガ 作品131b もあります。)

しかし残念ながら録音には恵まれていません。
有名ヴァイオリニストでは庄司紗矢香が数曲録音している程度でしょうか。

 前奏曲とフーガ 作品117-2 (鬼気迫る名演!)
 

それでもマイナーレーベルからはいくつかCDが出ていて、これは無伴奏ヴァイオリンのための前奏曲とフーガをすべて収録した2枚組。
内省的で純度の高い音楽ですが、それほど「孤高」でも「峻厳」でもなく、適度なユルさとセンチメンタリズムが魅力です。

 前奏曲とフーガ 作品117-3 より前奏曲 (ほぼバッハですね、これ)
 (上のCDの演奏ではありません)

 同上 よりフーガ (力強いフーガ)
 

 前奏曲とフーガ 作品117-7 より前奏曲 (瞑想的なプレリュード)
 

 同上 よりフーガ (バロック的な軽やかなフーガ)
 

 前奏曲とフーガ 作品131a-3 より前奏曲 (晴れやかで技巧的な前奏曲)
 (上のCDの演奏ではありません)

 前奏曲とフーガ 作品131a-2 よりフーガ (男性的な主題によるたくましいフーガ)
 (上のCDの演奏ではありません)

綺麗な曲ばかりなのに、なぜ人気がないのか不思議です。
イザイ(1858〜1931)の無伴奏ヴァイオリン・ソナタは最近ヴァイオリニストが好んで取り上げる人気曲になっているので、レーガーももっと演奏されるといいなあ。
曲調もイザイよりシンプルで、深みには不足するかもしれませんがそのぶん親しみやすいです。

(2020.01.26.)

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