レーガー/ヴィオラと弦楽のための組曲 ト短調
(ユーリ・バシュメット/ヴィオラと弦楽のための作品集 1991録音 より)
曲目
レーガー/ヴィオラと弦楽のための組曲 ト短調
ブリテン/ラクリメ(ダウランドの歌曲の投影)
ヒンデミット/葬送音楽
シュニトケ/モノローグ
ユーリ・バシュメットとモスクワ・ソロイスツによるヴィオラと弦楽のための作品集
かねてから愛聴しているCDです。
ただし愛聴しているのは最初の1曲のみ。
マックス・レーガー/ヴィオラと弦楽のための組曲 ト短調
無伴奏ヴィオラ組曲第1番を編曲したものです(編曲者は Victor Poltoratsky という人)。
ストイックで緊張感に満ちた原曲が、ロマンティックでゴージャスなヴィオラ協奏曲に変身します。
一見地味な女の子にドレス着せてメイクして鏡を見せて、「こ、これが私・・・?!」と言わせる少女漫画みたいな名編曲です。
もちろん原曲が傑作だからこそ編曲も映えるわけですが。
原曲 (若き巨匠、アントワン・タメスティの自宅ライブ!)
第1楽章 モルト・ソステヌート
ヴィオラの柔らかくて陰影のある音を存分に味わえます。
ポルタメントを効かせヴィブラートを細かく振るわせ、ねっとりじっとり歌い上げるバシュメット。
とろけそうです、たまりません。
第2楽章の軽やかなスケルツォも優美で可憐。
中間部はアンダンティーノ、ヴィオラの低音域を巧みに使った美しい旋律で酔わせてくれます。
第2楽章 ヴィヴァーチェ〜アンダンティーノ
ゆっくりした第3楽章のしみじみした味わい。
甘さを抑えた、ヴィオラならではの寂寥感をたたえた語り口には、ずっと浸っていたくなるような吸引力があります。
第3楽章 アンダンテ・ソステヌート
短いけれど華やかなフィナーレは、バロック・コンチェルトのような格調の高さ。
原曲にはないゴージャスな優美さに、フワリと耳が軽くなるような快感を覚えます。
第4楽章 ヴィヴァーチェ
第4楽章の原曲 (無伴奏だとストイックな厳しさを感じさせるところが不思議)
14分足らずという短さが不満なほどで、いつまでも聴いていたくなります。
これをきっかけにレーガーのヴィオラ組曲に興味を持つ人が増えるといいなあ・・・って無理か。
ほかの曲は・・・すみません、ほとんど聴いていません。
ブリテン/ラクリメ(ダウランドの歌曲の投影)は、名曲として評価の高い作品ですが、よくわかりません・・・。
ヒンデミット/葬送音楽は、イギリス国王ジョージ5世の追悼のために書かれた作品で大変立派な音楽のようですが、よくわかりません・・・。
シュニトケ/モノローグは、バシュメットのために書かれた作品ですが、むつかしくてよくわかりません・・・
(「ヴィオラ協奏曲」はけっこう好きなんですが)。
なお、この編曲版によるレーガー/組曲 ト短調、どうやらこれ以外に録音はないようです。
いい曲なんですけどねえ・・・。
そういえばマックス・レーガー、今年(2023年)は生誕150年ですね。
(2023.03.21.)
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