moumoon/リフレイン
(2010)



Amazon : リフレイン(DVD付)

<曲目>
リフレイン
Brilliant Days
天国に一番遠い場所
Kiss me Baby
MUSIC
青い月とアンビバレンスな愛

珠玉のミニ・アルバム


moumoon/リフレイン(2010)
ファースト・フルアルバム"moumoon"(2008)と、セカンド・フルアルバム"15 Doors"(2011)の間に発表された6曲入りミニ・アルバム。
6曲すべて素敵な曲であるうえに内容は多種多彩、moumoonの音楽家としての引き出しの多さを見せてくれます。

1曲目「リフレイン」は、ライブでもよく歌われる人気曲。
その後いくつも作られる「前向き励ましソング」の原型といえる作品で、とってもいい曲です。
サビのフレーズでの4度の跳躍が耳に残ります。

 

ライブだと盛り上がります、元気づけられます。

 

 あの日のあの言葉 あなたの笑い声リフレインさせて わたしはどこまでも強くなる
 逢いたい切なさはあなたと私をつなぐ だからどんなに遠くたって聴こえてる

2曲目「Brilliant Days」、これぞ隠れた名曲。
メルヘンチックでクラシカル、耽美的で妖しい雰囲気はいまのmoumoonにはないものです。
谷山浩子にも通じる危険で童話的な魅力を発散していて、この路線もうちょっと追求しても面白かったのでは。

 

 Brilliant Days 窓を泳ぐ人魚のうた ゆれる声は、途切れて
 Brilliant Days あなたはただ、ガラスの中 漂うわたしを眺めてる

3曲目「天国に一番遠い場所」・・・・・・不思議なタイトルですが、我々が生きる「現世」を意味しているのでしょうか。
幸福感あふれるラブソングです、メロディの美しさにノックアウトされてカウントテンでも起き上がれない超名曲。
YUKAの歌詞は「アダルト・チルドレンの一例」的内容でやや屈折していますが、
明るい曲にもほのかな闇を感じさせるところがmoumoonの深みであり魅力でもあります。
アルバム"15 Doors"にも収録されています。

 

 パパとママの笑顔を作ることこそが仕事だと思ってた
 ママの涙で気付く 「あなたの笑顔がなくてどうするの」
 優しくされると苦しくなる 揺れてしまう心
 でも 「大丈夫」のハグでひとたび
 眠りに落ちるようで



4曲目「Kiss me Baby」は、分厚いストリングスにピアノがからみ、幻想的な世界が広がるクラシカルなバラード。
「Brilliant Days」と似た雰囲気のエレガントで耽美な曲です、こういう曲好きなんですが、最近書いてくれませんねえ。

 

 ガートルードの愛した庭で ブランコを降りたその日に
 朝露のしたたる森を 素足のまま 目指したワンダーランド
 手鏡で紅を引いた 夕暮れのGalaxy 無知なるSensuality

5曲目「MISIC」は一転してポップでキッチュ、凝りに凝ったアレンジは他の誰にも似ていなくて、すごく「新しい」です。
歌詞も単なる言葉遊びのようで何か意味があるようでよくわかりませんがとにかく面白い。
この人たち天才かっ!

 

ラストでバックコーラスが楽器の名前を羅列するところがチョー洒落ています(動画の2:20ごろから)
ちなみになんて言ってるかと言うと・・・

 Wind chime Xylophone Triangle Piccolo Bouzouki Contrabass Viola Violin Glockenspiel Mandolin Gamelan English horn
 Trombone Tambourine Tympani Castanet Clarinet Bamboo fluteTuba Marimba Saxophone Guitarr ('o)n Cowbell Harpsichord
 Jambe Vibraphone Penny whistle Sitar Euphonium ZamponaAccordion Biguella Dulcimer Didgeridoo Violin Cello

 Trombone Tambourine Tympani Castanet Clarinet Bamboo flute


・・・・・・なんじゃこりゃ、聞いたこともない楽器もあるぞ、アヴァンギャルドだな、愉しいな。

こういう実験的な曲も果敢に作るのがmoumoonの魅力で、のちの"cocoon""Fight Back"などへとつながってゆきます。

 cocoon ("It's Our Time"(2015)収録)
 

 Fight Back ("It's Our Time"(2015)収録)
 

ラストの「青い月とアンビバレンスな愛」は一転、闇の底に沈んでゆくようなダーク・バラード。
インディーズ時代に作った曲で思い入れが強いらしく、唯一MVが作られ、次のフルアルバム"15 Doors"にも収録されました。
愛しているのに憎くもあるというアンビバレントな感情を見事に歌にしています。
YUKAの実体験がネタなのかどうかは知りませんが、ほの暗い情念をたたえた歌詞に麗しいメロディが繊細に寄り添い、とくに後半の盛り上がりは最高。
ただMVではYUKAのメイクがちょっと怖い

 

久しぶりに通して聴いてみたんですが、やっぱり完成度の高い名盤でした。
10年たっても古びていません。
DVD付きヴァージョンは、2009年「中秋の名月ライブ」のダイジェスト映像が収録されていてお得です。

(2020.03.22.)


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