ジャン・フランセ/弦楽オーケストラのための作品集
(ケリー・ストラットン指揮 サー・ゲオルク・ショルティ室内管弦楽団)



Amazon.co.jp : ジャン・フランセ:弦楽オーケストラのための音楽集

Tower@jp : Francaix: Music for String Orchestra

<曲目>
弦楽のための交響曲
ヴィーナス誕生のためのオード
パントマイムのための「カメリア(椿)」



昨年、生誕100周年だったフランスの作曲家ジャン・フランセ(1912〜1997)。
私はこの人のファンであります。

 しかし私の脳の中にはいつの間にか奇妙なニューロンが形成され、
 近頃は「ジャン・フランセ」という名前を聞くと瞬時に「フランス・ギャル」を連想し、頭の中で「夢見るシャンソン人形」が鳴り響くのです。
 一体なぜなんでしょう?(←知るか!)

 

さて昨年は生誕100年を記念していくつかのCDが発売されたフランセ、これは弦楽合奏のための作品を集めた一枚。

冒頭に収められた「弦楽のための交響曲」(1948)が大好きです。
フランセの曲の中では「チェンバロ協奏曲」の次に好きだと言えるかもしれません。
おしゃれで優雅で能天気、何の悩みもなさそうな、じつに素晴らしい作品で、生前「自分の音楽の目的は人に喜びを与えることだ」と語っていたフランセらしい名作。

第1楽章、ゆっくりした序奏に続き、都会的で生き生きした主題(0:57から)の爽やかで美しいこと。

 弦楽のための交響曲・第1楽章
 

迫力と音量で聴く者を圧倒する重厚な作品も良いですが、軽くさりげない作品で人を惹きつけるほうがむつかしいのではと思う今日このごろ。

第4楽章も軽妙で優雅でお洒落、好きだなあこういう音楽。

 弦楽のための交響曲・第4楽章
 

生涯、新古典主義を貫き、無調前衛には目もくれなかったフランセ
どの曲も、お洒落なパリジャンが鼻歌交じりに書き流したように聞こえますが、
前衛の嵐が吹き荒れた20世紀後半のヨーロッパ音楽界でこのスタイルを堅持するのは、強固な信念と意志がなくてはできないこと。
自己の美学に忠実な頑固者であったのでしょう。

「ヴィーナス誕生のためのオード」(1960)は、世界初録音。
ボッティチェリの名画「ヴィーナス誕生」を音で表現した5分ほどの小品です。

 

パントマイムのための「カメリア(椿)」(1950)も、世界初録音。
ジョージ・バランシンのために書かれた25分ほどのバレエ音楽で、かの有名なデュマ・フィス「椿姫」をベースにしているそうです。
ただし悲劇的なところはなく、優雅で洗練された音の流れに気持ちよく浸れます。

 第5曲
 

(2013.4.9.)

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フランセ/室内楽曲集

「チェンバロ協奏曲」も収録されています



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Tower@jp : Jean Francaix 100 [WER6956]


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