ジャン・フランセ/室内楽曲集
(コンセルトヘボウ管弦楽団のメンバー、ジャン・フランセ:ピアノ 1993録音)



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Tower : フランセ/室内楽曲集

<曲目>
弦楽三重奏曲
2羽のインコの会話
フルートとピアノのためのディヴェルティメント
メフィスト・カンタータ



ジャン・フランセ(1912〜97)の音楽、好きなんですよね。
生涯にわたって軽妙洒脱・機知横溢な作品を作り続け、「音楽の目的は人を楽しませることだ」と断言してはばからなかった人。
重厚長大系、暗黒深淵系、陰々滅々系の作品はありません、そういうのがお好きな方はごめんなさい。
ちなみに自動車レースで有名なル・マンの生まれ、お父さんはル・マン音楽院の院長でした。

ならば軽佻浮薄な人かと言えばさにあらず、
前衛音楽・電子音楽の嵐が吹き荒れる20世紀の欧州で、わかりやすく小洒落た調性作品ばかり書いて第一線で活躍し続けることは並大抵ではありません。
無調や十二音に傾いてゆく作曲家あまたいた中で、自分のスタイルを貫き通したフランセ、カッコいいです。
初期から晩年まで作風にブレがないところは、尊敬していたサン=サーンスに通じるものがあります。

このCDは1990年代に別のレーベルから出ていたフランセの室内楽を集めたアルバム。
ブリリアント・レーベルから安く再発され、フランセ・ファンには嬉しい限り。
ピアノはフランセ自身が弾いています。

弦楽三重奏曲はフランセ最初期(1934年)の作品ですが、すでにスタイルは確立しています。
ツンと澄ました風情がお洒落で都会的です。
第2楽章スケルツォなんて、もう最高。

 弦楽三重奏曲 第2楽章 スケルツォ
 

2羽のインコの会話(1989)はフルートとアルト・フルートの二重奏。
晩年の作品ですが若々しさがみなぎっていて2羽の鳥が楽しげに会話している様子が目に浮かびます。
かなりの超絶技巧が要求され演奏者は大変でしょうが。

 第1曲 アレグリッシモ
 

フルートとピアノのためのディヴェルティメント(1953)はジャン・ピエール・ランパルのために書かれた曲で、やはり超絶技巧が要求されます。
このCDでは80歳を超えたフランセの達者なピアノも聴きもの。

 第3曲 無窮動
 

 第5曲 終曲
 

メフィスト・カンタータ(1952)は、弦楽五重奏とバリトン独唱のために書かれています。
ゲーテのファウストではなくポール・ヴァレリーの「我がファウスト」に基づいているそうです。
内容はさっぱりわかりませんが、これもまたユーモラスで優雅でオシャレな音楽です。

 

(2021.08.15.)


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