スカルコッタス/ピアノのための32の小品
(ニコラオス・サマルタノス:ピアノ)
Tower : Skalkottas 32 Pieces for Piano
なにこの傑作!!
第1曲「ピアノ曲」 (12音音楽なのに幻想的でロマンティック)
第4曲「ジャングルの大惨事」 (超絶技巧炸裂!爽快なまでのカオス!)
ニコス・スカルコッタス(1904〜49)の「ピアノのための32の小品」は、1940年に一気に書かれました。
「32」はベートヴェンのピアノ・ソナタの曲数を意識し、各曲の主題や音列は互いに関連、全体がひとつの組曲として構想されているそうです。
しかしちょっと聴いたくらいでまとまりを感じ取ることは難しいです。
玉手箱をうっかり開けたら、色も形もとりどりの音響がてんでばらばらな方向に飛び散ったような印象。
第10曲「ソナチネ」 (わずか1分半のソナチネ。ちゃんと3楽章に分かれています)
独創的で刺激的で魅力的で、ちょっと暴力的でもあります。
20世紀のピアノ曲として、ショスタコーヴィチ「24の前奏曲とフーガ」、メシアン「幼子イエスにそそぐ20のまなざし」、ヒンデミット「ルードゥス・トナリス」
クラム「マクロコスモス」、リゲティ「練習曲集」 「ムジカ・リチェルカータ」などと肩を並べる傑作じゃないでしょうかこれは。
・・・まあしかし、1940年のギリシャでこんな曲書いても売れんわなあ、そりゃ。
第18曲「フォックストロット」 (リズミックでジャズっぽい)
スカルコッタス自身はヴァイオリニストで、ピアニストではなかったのですが、それがかえって自由奔放な表現に繋がっている気がします。
演奏するピアニストは大変でしょうけど。
第31曲「ワルツ」 (こ、これがワルツ?!)
第32曲「小さな農民の行進曲」 (終曲。ストラヴィンスキー風の軽妙なマーチ)
スカルコッタスは1949年に亡くなっているので、そろそろ著作権も切れているはず。
楽譜も出版されているようなので、今後演奏や録音が増えるのではないでしょうか。
(2024.12.15.)
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