リゲティ/練習曲集 第1巻&第2巻
(イディル・ビレット:ピアノ)



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春ですねえ。

我が家から歩いて10分くらいのところにお城がありまして、そこは市民みんなの憩いの場。 
私も時々足を運びます。
1600年ごろに立てられた由緒正しい木造建築、石垣も美しく、天守閣からは街を一望できます(小さな街ですが)
お花見の名所でもあり、まもなく何百本もの桜が狂ったように花開くはず。

さて狂ったように咲き誇る桜を見ると、私の頭の中にはリゲティの練習曲が鳴り響きます(←変なやつ)
ハンガリー生まれの大作曲家ジョルジ・リゲティ(1923〜2006)が、その晩年に力を注いだ傑作群。

そもそも、ピアノ奏法は20世紀半ばに、もう限界に達したと言われたそうなのですね。
それを打ち破ろうと、弦の間にボルトや鉛筆を挟んでみたり(プリペアド・ピアノ)、弦を直接はじいてみたり(内部奏法)
いっそ音を出さなかったり(ケージ「4分33秒」)、自動ピアノを使ったり(ナンカロウ)
鍵盤の間にナイフを突き刺したり(キース・エマーソン)と、いろんなことが試みられたのです。
最後のはちょっとどうかと思いますけど。

ところがリゲティは「普通に鍵盤を弾いてもまだこんなことができるんだぜ!」とばかりにこの「練習曲集」を発表、
音楽界をあっといわせたんだとさ。

 練習曲第1番「無秩序」
 

私にも詳しいことはわかりませんが、とにかくありとあらゆる技法を駆使しているんだそうですよ(←てきとう)
鍵盤は上から下まで縦横無尽に使いまくり、右手と左手で拍子が違うメロディを奏で、同時に3つ4つのリズムを演奏、
フリージャズミニマル・ミュージック民族音楽の要素もぶち込んで、ピアノ音楽の世界を押し広げました。

もんのすごい複雑で演奏困難な音楽ですが、こういう曲を嬉々として弾きまくるピアニストのかたもたくさんおられるみたいで、
第13番「悪魔の階段」などは、いまやすっかり大人気曲となっております。 
たしかにこんなのばりばり弾けたら面白いでしょうね。 
 

でも、この練習曲集のスゴイところは、「べつに技法を聴こうとは思わない」一般の音楽ファンにとっても、
ちゃんと「聴いて面白い」作品になっていること。
第4番「ファンファーレ」は、超絶技巧ジャズみたい、
第6番「ワルシャワの秋」の出だしはキース・ジャレットみたいでとっつきやすいです(途中からエライことになりますが)
 

どの作品も複雑で変化に富んでいて聴き飽きませんし、各曲に洒落た、ときに意味不明なタイトルがついているのも面白い。

リゲティは、1985年に第1巻(6曲)を発表、1988年から94年にかけて第2巻(8曲)を作曲し、
95年から第3巻にとりかかりましたが、4曲作曲したところで亡くなりました。

私も第3巻はまだ未聴でして・・・CDは出ているのですが、結構入手困難なのです。
ナクソスから出ないかな。

(08.3.17.)


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