スカルコッタス/36のギリシャ舞曲
Christodoulou 指揮 BBC交響楽団
(BIS CD 1333/4)
Amazon.co.jp : Nikos Skalkottas: 36 Greek Dances
Tower : Skalkottas/36 Greek Dances
祝、アテネ・オリンピック!
というわけで、ギリシャの音楽を聴いてみようと思いました。
われながら、相変わらずわかりやすい人間です。
ギリシャの作曲家といえば、いちばん有名な御方はおそらく、イアニス・クセナキス(1922〜2001)でしょう。
大音響・爆音まっしぐら、エネルギーのかたまりのような音楽というか音響を書くヒトで、
ピアノと管弦楽のための「シナファイ」という曲が最近日本人の独奏でCD化され、一部で話題になりました。
超・超絶技巧と超・体力が要求される作品で、ピアニストは必ずといっていいほど指から出血、
「白い鍵盤が血に染まる!!」(ホラー映画かい)といわれるスゴイ曲です。
スゴイ曲なのですが、私の語彙では「スゴイ曲」以上の言葉が思いつかず、このCDの感想を書くことは断念いたしました。
ほかに誰かいないかな〜、お、ニコス・スカルコッタス(1904〜1949)がいた!
ベルリンに留学しシェーンベルクに十二音音楽を学んだ人。
ギリシャに戻り、おらが里の人々に、はりきって世界最先端の十二音音楽を披露したところ、
「わけわからんわっ!」
と各方面から総スカン、気の毒に、作曲家としての道は閉ざされてしまいます。
結局、オーケストラのヴァイオリン奏者として働きながら、演奏される当てもなく12音技法の曲を書き続け、失意のうちに45歳で早死にしてしまいました。
今年生誕100年ということもあり、一部で再評価が進んでいます。
「36のギリシャ舞曲」は、オリジナルなメロディに一部民謡などを自由に引用して作られ、
例外的に作曲者の生前にも何度か演奏されました(ただし出版はされませんでした)。
12音技法は使われていませんが、どことなく現代的な響きが魅力的です。
エピロティコス
(たぶん一番有名な曲)
ブラームスが「ハンガリー舞曲」、ドヴォルザークが「スラヴ舞曲」なら、オレは「ギリシャ舞曲」で勝負だ!
と思ったのでしょう、親しみやすく、それでいて力の入った曲ぞろいです。
各曲にはタイトルがつけられていて、「クレタの舞曲」「ペロポネソスの舞曲」「ミロポタモスから来た女」など、
なるほどこりゃあギリシャだね! な、そそられるものぞろい。
ミロポタモスから来た女
(トランペット・ソロが映画音楽のようなロマンティック・ナンバー)
響きは野性的でエキゾティック、どこか乾いた風情をたたえ、ときに垣間見せる叙情のメロディ。
舞曲とはいえ、勇ましい曲が多いので、オリンピック応援のBGMとして、なかなか使えるかもです。
よーし、と思ったのですが、時差が・・・。オリンピック中継は、今回ほとんど夜中ですね。
私、最近、夜11時には寝床に入ることにしているので・・・・うーむ、困ったぞ。
ヴラキコス
(元気いっぱい、勇ましい曲)
(04.8.12.記)
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