ジョージ・クラム/マクロコスモス第1集・第2集
(ボヤン・ゴリシェク:ピアノ 1997)



Amazon : Bojan Gorisek Plays George Crumb


アメリカの現代作曲家ジョージ・クラム(George Crumb, 1929〜2022)のマクロコスモス第1&2集(1972〜3)は以前から好きで、LP時代から時々聴いては

 「変な曲〜、キモイ〜」

と喜んでいたのですが(←お前も相当キモイ)、インターネットとYou Tubeが普及したおかげで楽譜や演奏動画が見られるようになり、

 「こんな楽譜をこうやって弾いてたんだ! なんつう変態だ!」(←お前もな)

とさらに理解を深めることができて大変喜ばしい今日この頃です。

第1集・第2集ともに黄道十二宮の名前が付いた12曲からなるピアノ組曲。
内部奏法、プリペアド・ピアノ、肘打ちといった特殊奏法が用いられ、「叫べ」「唸れ」「口笛を吹け」という指定もあったりします。
タイトルはバルトークの「ミクロコスモス」を踏まえており、響きはドビュッシーの「前奏曲集」を意識したそうで、

 ピアノ1台でまだこんなことができるんだ! 

と70年代の現代音楽シーンに衝撃を与えた傑作・怪作です。
そして「聴いて楽しく見て面白い」のがポイント、これ大事です。

第1集第1曲 太古の響き(創世T)「かに座」は、地の底で何かがうごめいているような響きで開始。
タイトルどおり古代の神話が幕を開けるかのよう。
ピアノはチェーンのようなものでプリペアドされており内部奏法も駆使、神秘と不思議の世界にいざなわれます。

 

 演奏動画 (1:16からに注目)
 

第1集第2曲 プロテウス「うお座」は一転、軽やかなスケルツォ風でドビュッシーの影響が強く感じられます。
魚がピチピチ跳ねてる感じでしょうか、特殊奏法はありませんが超絶技巧が要求されます。

 

第1集第4曲 十字架上のキリスト「やぎ座」は、第1曲と似た雰囲気で始まります。
なお楽譜は十字架になっています(どうやって弾くんだろ)。
途中で”Christe!”と叫ぶ指示があります。

 

第1集第5曲 幻のゴンドラ乗り「さそり座」は最もおどろおどろしい曲、これ大好きです!
いきなり弦を鋭くはじいて始まり、ピアニストはほぼ立ったままで唸ったり叫んだり大忙し、「ゴンドラ乗りの幽霊」を演じる演技力まで要求される難曲です。

 

 演奏動画 (失礼ながらつい笑ってしまう・・・)
 

第1集第7曲 影の音楽(エオリアン・ハープのための)「てんびん座」は、ほぼ内部奏法のみ。
ピアニストというよりハーピストですねこりゃ。

 

第1集第10曲 春の炎「おひつじ座」は、いきなり肘打ちから始まり、流れるように細かい音符が疾走するカッコイイ曲。
肘打ちは途中にも登場し、これは動画で見たほうが10倍楽しめます。

 (鮮やかな名演奏!)

第1集第12曲 螺旋の宇宙「みずがめ座」 は、楽譜が螺旋状に書かれています。
かえって弾きにくいやんか! と突っ込まずにはいられません。

 (ピアノに中村紘子のサインがある・・・?)

第2集第1曲 朝の音楽(創世U) 「かに座」は、ピアノの弦の上に紙を置いて演奏します。
変な雑音がするので、CDに傷でもついてるのかと思ったものです。

 

第2集第7曲 トラ!トラ!トラ!(黙示録的カデンツァ) 「さそり座」
ドラマティックな曲で、手のひら打ち、内部奏法てんこ盛りです、派手でカッコイイです。
最後にピアニストが「トラ!トラ!トラ!」と叫んで終わりますがどういう意味なんだろう(真珠湾攻撃・・・?)
なおジョージ・クラムはさそり座だそうです。

 

第2集第10曲 ”北の冠座”からの声 「みずがめ座」は、口笛を吹きながらほぼ内部奏法のみで演奏されます。
「ピアノ演奏」の概念が覆される面白い曲です。

 

演奏動画の多さからも人気のほどがうかがえます。

なお「マクロコスモス」は第4集まであって、第3集はピアノと打楽器のため、第4集はピアノ連弾のために書かれています。
ボヤン・ゴリシェク盤はそれらをすべて収録した3枚組で、おそらく唯一の「マクロクスモス全集」
録音にはジョージ・クラム本人も立ち会ったそうで、いわばお墨付きと言えます。
といっても第3集以降はほとんど聴いてないんですが・・・。

(2021.12.30.)

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