ヴァレンティーナ・リシッツァ・ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール
Valentina Lisitsa Live at the Royal Albert Hall
(2012)
Amazon.co.jp : Live at the Royal Albert Hall
Tower@jp : Valentina Lisitsa/ Live at the Royal Albert Hall
アルゲリッチの再来か? 金髪の「のだめ」か!?
You Tube で大人気のピアニスト!!
「爆演魔女」(←失礼な)の呼び名も高い、ヴァレンティーナ・リシッツァ Valentina Lisitsa 、
ついにメジャー・レーベルからソロ・デビューです!
ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール
1曲目はラフマニノフの「前奏曲 作品23−5」、ラフマニノフにしては土臭い曲。
私はこれを聴くたびに、「うんとこどっこい、よいしょ、よいしょ」と、掛け声かけたくなるんでが、皆様はいかがですか。
リシッツァの演奏は力強く、歯切れ良いです。
速いパッセージはより速く、やかましいパッセージはよりやかましく、歌うところはねっとりこってり、あざといまでの盛り上げ。
しかし完璧な技術と豊かな音楽性に支えられていて、文句のつけようがありません。
いわゆる圧倒的。
つづく「エリーゼのために」で軽く意表を突き、
リスト「ラ・カンパネラ」の涼しくも軽やかな名演奏へ。
見事にそろった音の粒子の眩しいばかりのきらめき。
スポーツ的快感を感じるほどに鮮烈かつ完璧。
ショパンのノクターン、リストの「ため息」「愛の夢」などでのロマンティックな表現力も、聴きながら「ふにゃあ〜」ととろけてしまうほどに甘くまろやか。
とくにスクリアビンの「練習曲 作品42−3」は、恐れ多くも申し上げますれば、あのホロヴィッツ大明神の上を行く名演奏ではないかと。
表現力・色彩感が二割り増し。
嘘だと思ったら聴き比べてみて。
ベートーヴェン「月光」の最初の2楽章は、抑制の効いた端正な音楽づくりで、古典的な造形力にも不足なし。
そして第3楽章は期待通りの大爆演、コーダでの爆発力、ハンパないっす。
切れ味抜群の図抜けたテクニック。
ピアノで語りかけてくるような雄弁な表現力。
この人、ことによると1日24時間ピアノのことを考え、1日16時間くらい練習しているのではないでしょうか(いつ寝るんだ)。
でなければライヴでこれほどの演奏はできないのでは。
技術的完璧さ&溢れんばかりの音楽性に、エンターテイナー的要素が加味され、まさに鬼に金棒、魔女に竹ぼうき。
「ウケねらい」だの「外面的」だの四の五の言わずに、音の奔流に呑まれてしまいましょう。
最後から2番目に収録されたラフマニノフ「音の絵 作品39−6『赤ずきんと狼』」を大音量で聴けば、
「ああもうどうにでもしてください〜〜」と、おヘソを上にして床に転がる以外にできることはありません(←わけわからん)。
DVDも発売されていますが、わたしはCDのみでお腹いっぱいです、げっぷ。
(2012.8.5.)
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