ラフマニノフ/ピアノ協奏曲全集(ヴァレンティナ・リシッツァ)



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ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番・第1楽章(ピアノ・パートのみ)



目、目がかゆい! 鼻水が出る!

私の住む香川県に、どうやら春がやってきたようです。
しかし今年の春の声は例年になく過激で暴力的。
外の風に数分もあたると、涙とくしゃみがとめどなく流れ出し、脱水になりそうです。
もともと花粉症の気は持ってる私ですが、これほどひどいのは初めて。

休日は極力出歩きません。
天気が良くても布団は干しません。 
洗濯物も部屋干しにしてもらってます。
たまに雨が降るとホッとします。
なんだか世を忍ぶ日陰者になった気分です。

窓も締め切っているんですが、どこからともなく入り込んでくるのが花粉の厄介なところ。
チェロの練習中、急に鼻がムズムズ、譜面台に向かって「ぶえくしょん!」とやってしまった日には、泣きたくなります(←バッチイなあ)
プロの演奏家さんは、聴衆の服に付着してきた花粉が会場を漂い、演奏中に自分の鼻に・・・なんてことはないんでしょうか。
考えるだにオソロシイ。

さて、先日ナクソスからソロ・アルバムが出たばかりの豪腕ハイテク・ピアニストヴァレンティナ・リシッツァ
今度はユニバーサルからラフマニノフ/ピアノ協奏曲全集です。
ヴァレンティナとラフマニノフの協奏曲、どう考えても相性抜群、理想の組み合わせ、期待は高まります。

まずは有名な第2番から聴いてみました(2枚目の冒頭に収録)。
な、なんという速いテンポ!
恐ろしいほどに指回りますねホント。
「のだめカンタービレ」第5巻、のだめと千秋がラフマニノフの2番を弾く場面を思い出さずにはいられません。

 「しかも速い!! このテンポでこの曲が弾けるのか!?」(「のだめカンタービレ 第5巻133ページ)

思わず千秋のセリフをつぶやいてしまいます。

 第2番・第1楽章
 

速いうえに打鍵は正確無比、響きは重厚、迫力たっぷり。
ガンガン弾いても音は決して濁りません。
隅々まで完璧にコントロールされています。
しかも速いパッセージはより速く、軽やかに走り抜け、遊び心まで感じさせる始末。
完全武装の重戦車が全力疾走しているみたいな演奏といえましょうか。

一方で、ゆっくりしたフレーズは十分に速度を落とし、じっくり歌います。
あふれんばかりの叙情をこめた雰囲気たっぷりの歌いっぷり、陶然とさせられます。

つまり速いところはより速く、遅いところはよりねっとりと
緩急の幅が大きく起伏に満ちた音の奔流に圧倒されるのであります。
トータルの演奏時間は他の演奏に比べて決して短くありませんが、なぜか短く感じてしまうのは、ダイナミックな演奏に退屈するヒマがないからでしょうか。
テクニック、センス、表現力、どこをとっても文句のつけようがございません。

ほかの曲も以下同文。
切れ味鋭いテクニック、むせ返るようなロマンティシズム、味付け濃厚な名演ぞろい。
「最近、薄味のラフマニノフが増えてしまった」とお嘆きのアナタに力強くおすすめいたします。

(2013.3.17.)

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番・第3楽章(ピアノ・パートのみ)


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