ガリーナ・ウストヴォルスカヤ/交響曲集
(ドミトリ・リス指揮 オレグ・マノフ:ピアノ サンクト=ペテルブルク・ソロイスツ)



Amazon : Ustvolskaya: Symphonies

<曲目>
交響曲第2番「真実なる永遠の淨福」(1979)
交響曲第3番「救世主イエスよ、われらを救いたまえ」(1983)
交響曲第4番「祈る人」(1987)
交響曲第5番「アーメン」(1990)



あなたには「怖い音楽」ってありますか?

これはまあ人それぞれ、「武満徹は怖い」という人もいれば、「バッハのオルガン曲が怖い」という人もいます。
ニョウボは、ミニマルミュージックを聴いているとだんだん鳥肌が立ち、脂汗が出るんだそうです。
なかには「モーツァルトは恐ろしい」とか「まんじゅう怖い」なんて人もいるくらいです。

さて、聴かせると大抵の人が「なにこれ、怖い」というのが、

 ガリーナ・ウストヴォルスカヤ(1919〜2006)の交響曲集

まずタイトルが怖い。
「真実なる永遠の淨福」とか「救世主イエスよ、われらを救いたまえ」とか、かなりヤバイですね。
道を歩いてたら「あなたのために祈らせてください」と声をかけられるような怖さがあります。

次に編成がイカレてます。
交響曲第2番「真実なる永遠の淨福」は、ピアノとティンパニと管楽器群と人声(語り)のための曲。
地の底で魑魅魍魎がうごめいているようなおどろおどろしさがたまりません、怖い怖い。

と、思っていたら・・・。
最近You Tubeでこの曲の動画を発見。
これがけっこう面白かったのです。
映像で見ると、音楽演奏というよりも、現代アートのパフォーマンス感覚で楽しめます。
 

言葉はもちろんわかりませんが、なんかゲージュツテキでカッコイイじゃありませんか!

交響曲第3番「救世主イエスよ、われらを救いたまえ」は、ピアノと大太鼓と管楽器とコントラバスと語りという編成。
これまたなに考えてるのかわからん組み合わせです、この動画も演奏というより「パフォーマンス」ですね。
 

交響曲第4番「祈る人」にいたっては、ピアノ、トランペット、銅鑼、コントラルト独唱・・・、演奏者4人です! 指揮者もいません。
しかも演奏時間6分半、これが交響曲ですか? 言うたもん勝ちですな。
国際交響曲公式認証機関(どこやそれ)からクレームが来そうです。
 

交響曲第5番「アーメン」は、オーボエ、トランペット、チューバ、ヴァイオリン、木の箱(?)、語り。
木の箱はどうみても棺桶です。
あえてティンパニや大太鼓を使わないところがモダン・アート、視覚的要素を意識してます。
 

良くも悪くも唯一無二の個性的な音楽。
ウストヴォルスカヤ自身は敬虔なロシア正教徒だったらしく、真剣かつ宗教的な気持ちで作曲したのでしょうが、
出来上がった作品は何やら異形のシロモノと化しているのがこの人らしい。

まさしく孤高の境地。

もっともロシア正教ってのは、よく知りませんがカトリック的な華やかさは薄く、土着的というか素朴で泥臭いところがあるのかも。
曲の単調さは、われわれが法事の時に聴かされるお経を連想させます。

なおガリーナ・ウストヴォルスカヤ、来年生誕100年です。

(2018.03.16.)


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「私の音楽は、過去から現在までの全ての作曲家の音楽と、全く何の関連もありません」
「私の音楽を真に愛するならば、私の音楽を分析してはならない」
ガリーナ・ウストヴォルスカヤ



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