サンマルティーニ/チェロ・ソナタ集
(アンサンブル・ドルチ・アチェンティ)
Amazon : サンマルティーニ/チェロ・ソナタ
Tower : Sammartini/Cello Sonatas
1曲目を聴いた瞬間、
「なにこれ、メチャクチャええやん!」
と心奪われてしまいました。
ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニのチェロ・ソナタです。
ソナタ ト短調 第1楽章 ラルゴ
ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニ(1700頃〜75)は、ミラノに生まれ、生涯をほぼその地で過ごした音楽家。
当時はあちこち渡り歩いて武者修行する音楽家が多かったので、むしろ珍しい存在。
私も出不精なので親近感わきます(自分と一緒にするな)。
ソナタ 作品4の1 第2楽章 アレグロ
伸びやかな旋律線、優美で開放的なハーモニー。
ちょっとくすんだ、決して豊かには鳴らないバロック・チェロの、ひそやかな響きが素敵です。
速い楽章でもはしゃがないし、居丈高になりません。
無理に響きを膨らますことのない歌い方が、諄々と語りかけるように心にしみこんできます。
要するに、シブイ。
様式的にはバロックと古典派の中間の「前古典派」で、両者のいいとこどりをしたような素敵な音楽。
私の好みのど真ん中です。
ソナタ 作品4の3 第1楽章 アレグロ
ところで、「交響曲の父」といえばヨーゼフ・ハイドンというのが一般的ですが、
じつはその名にふさわしいのは、ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニであるというのが最近の定説。
オペラの序曲を単独で演奏したらけっこう受けたので、
「こりゃいけるかも」
と、同じような作品を作り「シンフォニア」として発表したのが始まり。
当時の「イタリア式序曲」は、急-緩-急の3つの部分からなるのが通例でしたが、サンマルティーニはそこにメヌエットを加えて4部とし、
のちの4楽章交響曲への道筋を付けました。
なかなか偉い人ですね〜。
ソナタ 作品4の4 第2楽章 ラルゴ
サンマルティーニはシンフォニアにしてもチェロ・ソナタにしても、親しみやすく人懐こい曲ばかりで、なんだかほっこりしてきます。
スリルや興奮はまったくありませんが、「安心」して聴いていられる音楽です。
余談ですが、イタリアの作曲家って、ジョヴァンニ・バッティスタという名前がやたらと多いです。
最近ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナ、ジョヴァンニ・バッティスタ・チッリを取り上げましたし、
ほかにもジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィターリ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ボノンチーニ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティなどがいます。
そうそう、ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージは超有名ですね。
あと有名なアントニオ・ヴィヴァルディのお父さんは、ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィヴァルディという名だそうです、へえ〜。
(2023.08.30.)
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