ジョヴァンニ・バッティスタ・チッリ/チェロ・ソナタとチェロ二重奏曲集
(breaking bass ensemble, 2020録音)



Amazon : チッリ/チェロ・ソナタ

Tower : Cirri/Cello Sonatas

趣味でチェロをいじっているもので、聴いたことのないチェロ曲を見かけると食指が動き、ついCDをポチッとしてしまいます。
その結果知らない作曲家のチェロ・ソナタやチェロ協奏曲のCDが封も切らずに部屋の片隅に積み上がり、なにやら恨みがましいオーラを発しています。 
怖いよお。

CDたちの怒りを鎮めるべく(?)本日開封したのは、

 チッリ/チェロ・ソナタとチェロ二重奏曲集

ジョヴァンニ・バッティスタ・チッリ(1724〜1808)はイタリアのチェリスト/作曲家。
ハイドンとほぼ同世代(8歳年上)です。

イタリアのフォルリという田舎町に生まれますが、若いころからチェロの名手として頭角を現します。
1760年に一念発起してパリに進出、コンセール・スピリテュエルで演奏し、名チェリスト・デュポールと共演もしたそうです。
その後ロンドンに渡りコンサートを開いたり音楽教師として活動、ロンドンを訪れた少年時代のモーツァルトとも一緒に演奏したとか。
晩年はイタリアにもどり、故郷の町で教会の楽長・聖歌隊指揮者として生涯を終えたそうです。

 現代で言えば、若いころは腕利きのスタジオ・ミュージシャンとしてあちこちでビッグネームと共演、
 年とってからは故郷でライブハウスを経営し若者に楽器を教えながら余生を過ごしたギタリストって感じかな。
 音楽家としてそれなりに満足のいく人生だったのではないかと勝手に想像します。

このCDに収録されたチェロ・ソナタと二重奏曲は、晩年イタリアにもどってからの作品らしく、
尖がったところも奇をてらったところもないですが、確かな職人技を感じる親しみやすい曲。

二重奏曲は2本のチェロとコントラバスという編成。
しっとり落ちついた響きで、中低音好きにはたまりません。

 二重奏曲第8番 ヘ長調 第2楽章 アレグロ・モデラート
 

チェロ・ソナタではチェンバロとコントラバスが通奏低音をつとめます。

 チェロ・ソナタ第2番 イ長調 第2楽章 アレグロ
 

ハイドンとほぼ同世代なので時代的には古典派のはずですが、バロックの雰囲気を色濃く残した曲も多いです。
まあバロック大好きですから別に問題ありませんが。

 チェロ・ソナタ第5番 ハ短調 第3楽章 アレグロ
 

のどかでアットホームな雰囲気の曲ばかりの良いアルバムでした。
なお、刺激成分はほぼゼロです。

Breaking Bass Ensemble はチェロ2名、コントラバス、チェンバロ1名ずつからなる4人組で、
オリジナル楽器を使用し、知られざる作曲家の知られざる作品を紹介することを目的に活動しているそうです。
レパートリーどんだけあるのか、ひとごとながら心配になりますが。

(2023.07.15.)

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