フェルディナンド・レバイ/ギター四重奏曲集
(ゴンザロ・ノクエ:ギター ほか 2011録音)



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クラシック・ギターの音色、優美で軽やかで好きです。
「無伴奏チェロ組曲」なんて、ギターで弾いたほうが素敵じゃね? なんて思っちゃうほど。

しかしギターとほかの楽器が絡む曲ってクラシックの分野には少ないですね。
有名なところではボッケリーニパガニーニ、あとはご存じロドリーゴ「アランフェス協奏曲」くらいかなと思っていたら、素敵な作曲家を見つけました。

 フェルディナンド・レバイ(Ferdinand Rebay, 1880〜1953)

ウィーンで生まれ、ウィーン音楽院でロベルト・フックスに作曲を学び、「ブラームス賞」など多くの賞を受賞。
卒業後はウィーン音楽アカデミー(現・ウィーン国立音楽大学)の教師となり教授にまで昇進、そのかたわらオペラ、交響曲、協奏曲、歌曲など、600曲に及ぶ作品を残しました。
ギターの音色に愛着を持っていたようで、歌曲の伴奏にも、ピアノではなくギターを用いることが多かったそうです。

このCDはギターを含む四重奏曲を集めたもので、
「ギター、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための四重奏曲 ニ短調」
「ギター、フルート、ヴィオラ、チェロのための四重奏曲 イ短調」
の2曲が収録されています。

2曲とも世界初録音だそうです。

 

みずみずしいメロディの美しさに耳を奪われます。
ウィーン音楽院で学んだだけあって、古典的で正統派の堂々たる室内楽ですが、ギターが活躍するせいでジプシー的な雰囲気もあり、洒落たエッセンスになっています。

 こんな素晴らしい作曲家がなぜ無名なのでしょう?

レバイが活動した20世紀前半のウィーンでは、シェーンベルクを筆頭とする「新ウィーン楽派」が「十二音技法」を推進。
ほかにも、マーラーの超巨大で圧倒的な交響曲、R・シュトラウスの退廃の香り漂う豪華絢爛な楽劇や交響詩が次々と発表されていました。
彼ら巨人たちの前衛的な傑作群が屹立するその足元で、前期ロマン派から一歩も出ないようなレバイの音楽が無視されたとしても不思議はありません。
実際、作曲者を伏せて聴かせたら、

 「いい曲だねえ〜、シューベルトかな?」

と言われそうな曲です、とても20世紀音楽とは思えません。

それにしてもなんという魅力的な作品群!
軽やかで透明でひねくれたところのない音のたたずまい。
脂っ気や戦闘性を感じさせず、ただただ爽やかに音楽を楽しむ姿勢が素敵です。
シェーンベルクやマーラーやR・シュトラウスやベルクやツェムリンスキーやシュレーカーやクルシェネクといった魔物怪物・魑魅魍魎(←失礼)が跳梁跋扈していた20世紀初頭のウィーンにあって、
まさに一服の清涼剤と言えましょう。


フェルディナンド・レバイの今後の復権に期待します。

(2020.11.07.)


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