ジョヴァンニ・アントニオ・パンドルフィ・メアッリ/ヴァイオリン・ソナタ集 作品3&4
(グナール・レツボール&アルス・アンティクワ・アウストリア)


ジョヴァンニ・アントニオ・パンドルフィ・メアッリ(1624?〜1679?)は経歴がほとんどわからない謎の作曲家。
イタリアで生まれ、その後インスブルックでハプスブルグ家のフェルディナント皇子に仕えたそうです。
バロック初期にイタリアのヴァイオリン音楽をドイツに伝えたひとりというわけです。
ドイツのヴァイオリン無双野郎ビーバーはメアッリより一世代後の人なので、ひょっとすると影響を受けているかも。
曲を聴いているとそんな気がしてくるのです。

このCDはメアッリのヴァイオリン・ソナタ集作品3と作品4(1660)の全曲録音です。
なお作品1と2は失われ現存しません。

 ソナタ「ラ・モネッラ」からプレスト (ノリノリ!)
 

なかなか激しくてよろしいです。
というかほぼロックですねこれは。
初期バロックは形式も決まり事もあんまりなかったので、自由でやりたい放題みたいなところがあります。
17世紀のヴァイオリンは、1950年代のエレキギターみたいな存在で、みんな好きなようにかき鳴らしながら奏法や表現を模索していたのです。

 ソナタ「ラ・ヴィヴィアンナ」からアレグロ (活発でありながら優美な楽章)
 

各ソナタには人の名前が付けられていて、これらはメアッリの同僚や友人らしいです。
いわば「音で描いた肖像画」、粋ですね。

 ソナタ「ラ・ステッラ」からアレグロ (ステッラさんどんな性格なんだろう)
 

ひっそりした最弱音から野蛮なまでの激しさまで、ダイナミックレンジの広さがただ事ではありません。
コテコテの表現を得意とするバロック・ヴァイオリンの巨匠グナール・レツボール Gunar Letzborの熱演もあいまって引き込まれます。
もちろん激しいだけではなく、たおやかで流麗な楽章もあります。

 ソナタ「ラ・カステッラ」から第2楽章アダージョ (しっとり風雅なシャコンヌ)
 

パンドルフィ・メアッリに関しては最近研究が進んでいます。
インスブルックの宮廷は1665年に閉じられ、どうやらメアッリは失業したようです。
その後、教会でジョヴァンニ・マルケットというカストラート歌手を、口論の挙句殺してしまうという事件を起こしています。
メアッリはイタリアからフランス、スペインへと逃亡、各地の王室や礼拝堂を渡り歩きながら音楽活動したそうです。
けっこう破天荒な人だったんですね〜。
バロック時代、貴族に雇ってもらえない音楽家は一種の浪人で、アウトロー的な面があったともいわれますし。

没年やどこで亡くなったかは不明です。

 ソナタ「ラ・チェスタ」から第4楽章アダージョ (つぶやくように始まりますが、途中から急にキレます!)
 


(2022.02.23.)


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