ヴィヴィアーニ/ソナタ集"Capricci Armonici" 作品4
グナール・レツボール(Vn)ほか (ARCANA A302)



Amazon.co.jp : Viviani: Cacpricci Armonici

すごくマイナーな作曲家で、ちょっと気が引けるのですが・・・。
平凡社の「クラシック音楽作品名辞典」にも載っていないような人です。
ただ、ビーバー「ロザリオのソナタ」でとてもよい演奏を聞かせてくれた
Gunar LetzborのCDなので、興味を引かれ買ってみました(1999年録音)。

ヴィヴィアーニ Giovanni Buonaventura Viviani は、1638年フローレンス(フィレンツェ)の生まれ。
18歳でインスブルックの宮廷ヴァイオリニストとなり、34歳には宮廷楽長にまで登りつめます。
しかしその4年後に職を辞し、ヴェネツィアへ。
1678年にローマでオラトリオを演奏した記録が残っていて、10スクーディのギャラ(一体いくら?)をもらってます。
このときオルガン奏者をつとめたパスクィーニのギャラが1.5スクーディ、ヴァイオリンを弾いたコレルリ(当時25歳)は1スクーディだったそうです。
さらにナポリ、ミラノ、ボローニャなどイタリア中の大都市を股にかけて活躍、オペラもたくさん上演され、人気作曲家となります。
1692年には故郷フロレンスでオラトリオを演奏、1693年に声楽の練習曲集を出版していますが
それ以後の記録はなく、没年もわかっていないようです。
当時は大家であったのに、今では忘れ去られている作曲家って、17〜18世紀にはたくさんいそうですね。

肝心の曲のほうですが、ソナタ集"Capricci Armonici" 作品4 1676年の出版。
基本的にはヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ集。
全部で20曲からなり、それぞれソナタとかシンフォニアとかトッカータとかアリアとか、いろんな題名がついています。
いかにも前期バロックらしい、自由なファンタジーを感じさせる気持ちいい曲が満載です。
トランペットのためのソナタも2曲入っています。気分が変わっていいですね。
作品的には、上品な初期バロック音楽という範疇を出ていませんが、Letzbor の巧みな語り口もあって、心地よくくつろぎながら全曲聴いてしまいました。
この人のヴァイオリンは、なにか祈りのような深みを感じさせ、つい聴き入ってしまいます。

ジャケットがちょっと、格調高すぎというか、暗いというか、渋いというか、地味というか、とっつきにくいですが、
前期バロックの器楽曲がお好きな方には、もろ手を挙げて推薦したい1枚です。
内容はグッドです、くつろげますよ〜。

 ヴィヴィアーニ:ソナタ第1番
 

(01.12.19.記)

関連記事
ビーバー/ロザリオのソナタ
ヴィルスマイヤー/無伴奏ヴァイオリンのための6つのパルティータ
ウエストホフ/無伴奏ヴァイオリンのための6つのパルティータ


「音楽の感想小屋」へ

「整理戸棚」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ