カルロス・クライバーのブラームス/交響曲第4番
(ドイツ・グラモフォン)



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HMV : Brahms Symphony No.4 / Kleiber icon

追悼、カルロス・クライバー(1930〜2004)

名指揮者・カルロス・クライバーが亡くなりました。
私はナマで聴いたことはありませんが、録音や放送では楽しませてもらいました。
躍動感にあふれた、しかも品格の高い演奏をする指揮者だったと思います。

クライバーの録音で一番好きなのが、ウィーン・フィルを振ったブラームスの4番(1980)。
その昔、クラシック好きの友人Aの下宿に遊びに行くと、発売間もないこのLPを買ったばかり。
さっそく聴かせてもらって「おお、これはいいな〜」と言ってると別の友人Bから電話が。
しばらく電話で話していると Bが、「ところで後ろでかかってるこの曲、なんや?」というので、
「ブラームスの交響曲第4番。第4楽章や」 と教えてやると、普段クラシックなど聴かない彼が、
「・・・ええ曲やな」
「そうやろ」にやりと笑って友人Aは、受話器をスピーカーに押し付けました(うるさいやんか!)

・・・そんな美しい思い出のある一枚です(どこがやねん)

 第1楽章
 

この曲、一般的には老境(といっても52歳)に達したブラームスの、諦観と憂いがこめられているといわれ、
かつては交響曲第4番「枯れすすき」と呼ばれていた、というのはウソですが、とにかく、渋くて暗い曲のように思われてきました。
それだけに、クライバーの演奏には度肝を抜かれました。
まさに迫力と推進力のかたまり、同時になんと流麗で優雅なことか。
第1楽章終結部や第4楽章後半は、何度聴いても身体が自然に動き出します。
第2楽章の深く澄んだ響きも美しく、スケールの大きさを感じます。
ジャケットの色使いも相まって(LPだとインパクトありました)、この演奏を聴くと、
銀色に輝くスポーツカーが、秋の森のハイウェイを滑るように走ってゆく様子を連想します。

晩年はほとんど指揮活動をしなかったというクライバー氏(最後に指揮台にあがったのは1999年らしい)、

 「冷蔵庫にたくさん食べ物が入っているうちは、仕事をする必要はない」
 
と言ったという噂もありますが(真偽のほどは???)、
「音楽すること、すなわち幸せ」という、普通の音楽家とは別次元で生きていた人だったようですね。

とにかくも素晴らしい録音を残してくれた氏に感謝、そして、ご冥福をお祈りします。

 第4楽章 (ライブ)
 


(04.7.25.記)


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