アヴァラヤ・キソフスキー/トライアングル協奏曲 
ふたりの指揮者のための交響曲


Anazon.co.jp : Kisovsky Triangle Concerto


思い出したように駄作を発表する迷作曲家・アヴァラヤ・キソフスキー
また誰も頼んでいないのに新しいCDを発売した。
2年前の「ピアノ協奏曲」の不評にも懲りていないようである。
なんという学習能力の欠如、まさしく資源の無駄遣いといえよう。
しかしヒマなので聴いてみた。


「トライアングル協奏曲」
音楽史上には、リストの「ピアノ協奏曲第1番」ドヴォルザーク「新世界より」第3楽章ブラームスの交響曲第4番第3楽章、ハンガリー舞曲第1番など
トライアングル協奏曲の名曲が数多く存在する。
キソフスキーはその輝かしい系譜に新たなページを加えることができるだろうか。
独奏者はスカーレット・ライ、トライアングル界注目の新鋭である。
使用トライアングルは1928年、モソロフ鉄工場製の名器、
その鋭い響きは、聴いていると頭痛がしてくるという代物である。
彼女は「ついでに指揮でもやらないとヒマでしょーがない」と、指揮も担当している。
トライアングルのスティックは、たぶん指揮棒にも使えるのだろう。

曲は遅いテンポで情緒たっぷりに開始される。
やがて低音弦から重々しいフーガが始まり、
さらに軽やかなワルツ、叙情的なアダージェットと、
曲想は次々に移り変わり、大変聴きごたえがある。
あちこちでトライアングルさえ邪魔しなければ
素晴らしい名曲になっていたことであろう。

大音量のクライマックスに達したところで突然の全休止、
そこでトライアングルが「チーン」と鳴らされ、楽団員が全員ずっこけて曲を閉じる。
まさに吉本新喜劇の見すぎであると言えよう。

なおキソフスキー氏は現在「タンバリンと大管弦楽のための協奏交響曲」を作曲中とのことである。
いつまでも完成しないことを切に祈りたい。


「ふたりの指揮者のための交響曲」
この曲はその名のごとく、ふたりの指揮者が立ち、
それぞれ別のスコアを指揮するという作品である。
楽団員は、好きなほうの指揮者の指示に従い演奏する。
より多くの楽団員を従わせたほうが勝ち、というルールである(←競技なんかい!)
本盤の指揮者は、フランス人エイプリー・ルフールと、日本の滋賀 津場加
演奏はミナウ・ソダヨ交響楽団である。
指揮者にはカリスマ性、ルックス、品格、愛嬌、袖の下を渡す経済力など、さまざま能力が要求される難曲。
唯一、要求されないのが音楽性である。
さあ、勝負の行方はいかに?

       ・・・べつにどうでもいいといえよう。

(09.4.1.)

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