アヴァラヤ・キソフスキー/超絶愚行練習曲・ほか
Anazon.co.jp : Kisovsky Recent Works
桜も咲き、うららかな4月1日。
またしてもアヴァラヤ・キソフスキーの新作が届けられた。
どうしていつも、この日に届くのであろう・・・・・・謎である。
まあとりあえず聴いてみた。
超絶愚行練習曲集
ピアノの超絶愚行を究極まで推し進めた曲集である。
第1曲「前奏曲」では、両手と右足を使って鍵盤を弾くように指定される。
右足の指で高音部のメロディを美しく歌い上げるにはきわめて高度なテクニックが要求されるが、
はたから見ると単にアホなことをやってるとしか見えないのは言うまでもない。
第2曲は両手に加えて、鼻でも鍵盤を押さえないと弾けないように作られている。
ちょっとやってみたが滅茶苦茶鼻が痛い。 その姿がきわめてアホらしいことは言うまでもない。
さらに第3曲では、額を鍵盤に打ち付ける不協和音が重要な役割を果たす。
演奏に没頭して加減を間違えると流血する。
第4曲はピアノに背を向けて後ろ向きに弾くように指定され、
第5曲は鍵盤を使わず、ピアノの弦を直接はじくのみで演奏しなければならない。
これは先例がある → 参照
この動画は全然アホっぽくなくて、かなりカッコいいのが残念である。
ほかにも、手袋をして弾くように指定された曲や、
「鍵盤に落書きをする」「シールをはる」などの意味不明の指定がある(子供か)。
作曲者がいやいやピアノを習わされていた子供のころにやっていた、「ピアノでできるアホなこと」の集大成と言える力作である。
23人の肥満した演奏家のための「メタボルフォーゼン」
怠惰さと自堕落さに満ちた、弦楽のための20分程度の作品である。
演奏者は全員体脂肪率35%以上であることが求められる。
ベートーヴェン「英雄」第2楽章の引用が陰鬱さを強調する。
低音弦の引き摺るような重い音型は、メタボな身体を暗示しているのか。
厚ぼったい響きは、聴くだけで体重が増えそうなほどである。
中間部でヴァイオリンが、爽やかなあこがれのメロディを歌い、ダイエットの決意が暗示されるが、
最後には低音の重たい響きに飲み込まれてしまう。
なお、ステージ上には、ビール、ワイン、肉、ポテトなどが並べられ、演奏者は自由に飲食しながら演奏してよい。
終了時には、体重・体脂肪率ともに、演奏前より大幅にアップすることになる困った曲である。
私もぜひ演奏したい(←コラコラ)。
(2015.04.01.)
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