バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(前橋汀子)
(1988録音)



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優美にして峻厳


自分がチェロをいじっているもので、「バッハの無伴奏」といえば「無伴奏チェロ組曲」がまず念頭に浮かぶのですが、
そういえば「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」もあるよなあと、ふと思い出した秋の夜。
というか一般的にはこっちのほうが人気あるんじゃ?
以前、ヒラリー・ハーンのCDを取り上げたこともあります。

久しぶりに聴きたくなりました。
CDはいちおう数種類持っていますが、お気に入りは前橋汀子の録音。
なんといっても音に色気があります、艶があります、シルキーでなめらかな肌ざわり。
凛とした高音、深い響きのG線、ゆかしくもぬくもりのある優美な音色です。

 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番・第2楽章「フーガ」
 

端正な音楽のフォルムには、一本芯が通っていますが、
同時に微妙な表情の変化、弾力のあるうたごころの表出がみずみずしい。

真正面からバッハに取り組んだ、気品と気骨ある名盤。
優美にして峻厳です。
全体に適度な湿り気があり、日本人のメンタリティにぴったりくるバッハです。
秋の夜長にしみじみ聴くのに似合いそう。


私にとって前橋汀子は、おそらく生演奏を一番たくさん聴いたヴァイオリニスト。
初めて聴いたのはもう30数年前になるはず。
以前、徳島市に住んでいた頃、「労音」の会員になっていまして、そのコンサートによく出演されていたのです。
年に1回くらいの割合で来てくれてたんじゃ?
演奏もさることながら、「なんつーキレーなヒトだ〜」と思ったのと、
パッセージを弾き終える度に弓を持った右腕を大きくぐるんと回す動作(パフォーマンス?)をするのがとても印象的でした。
その後もN響の地方公演のソリストなどとして何度か聴きました。
そういえば2年ほど前にも高松でメンデルスゾーンのコンチェルトを聴いたなあ。

本当に素晴らしいヴァイオリニストだと思います。
いつまでも元気で活躍していただきたいです。

 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番・第4楽章「ジーグ」
 

(2015.11.19)


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