万城目学/偉大なる、しゅららぼん
(集英社 2011年)




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<ストーリー>
琵琶湖畔の街・石走に代々住み続ける日出家棗家
両家には長年受け継がれてきた特別な「力」があった。
石走高校に入学した日出涼介、日出淡十郎、棗広海が偶然同じクラスになったとき、
力で力を洗う戦いの幕が上がった。


職場の健康診断の結果が帰ってきました。

じつは以前からγ-GTPが微妙に高くて、100台が続いているのです(正常値は10〜47)。
γ-GTPは肝機能を表す指標のひとつで、お酒を飲みすぎると上がると言われています。

まあ普段からそれなりにたしなんでおりますから、
少々高いのは仕方ないのですが、次回はせめて2ケタにはしたいものだと、
ひそかに期するところがあったわけです。

ところが、健康診断の日をすっかり忘れていた私。

 「きょう採血ですよ」

と同僚に言われて、「しまった、ゆうべ飲んじゃった!」

しかし健康診断があるからと言って急に酒を控えるのも邪道といえば邪道。

 「ここは腹をくくって、自然体できっちり血を抜かれてこんかい!」

と、自分に言い聞かせ、検査に臨みました。

結果、γ-GTPは108
うーん、惜しい、もうちょっとで2ケタだったのに。
ちなみに他の数値は正常です。 GOTもGPTも中性脂肪も高くありません。

く、悔しい・・・今度こそ、(検診が近づいたら)お酒を控えよう!(←全然懲りてない)


さて、「かの子ちゃんとマドレーヌ夫人」につづく万城目学さんの新作長編「偉大なる、しゅららぼん」
お酒を飲みながらページをめくるのにふさわしい(←コラコラ)楽しいホラ話でした。

琵琶湖の水から得られる不思議な力によって他人の心を操る一族と、他人の身体を操る一族。
両者は、千年の長きにわたって琵琶湖のほとりに住みながら対立を繰り返してきた・・・。

伝奇ファンタジー小説の王道まっしぐらを行くような設定。
さぞかしビッグスケールな超能力大長編戦闘物語が展開されるのかと思いきや。
なんじゃこのアットホームでユルイお話は。

超能力一族の片方は大きな城に住んでいて、
次期頭領は、真っ赤な学生服を着たぽっちゃり体型の高一のお坊ちゃん。
その姉は、ぽっちゃりした体をジャージに包み、白馬にまたがってます。 
絶妙に変です。 力抜けます。
相変わらずの万城目ワールド、良いなあ、オモロイなあ。

最後までストーリーがどこに着地するのかわからず、ハラハラしながら読みました。
しかし終わってみれば、見事に組み上げられたでっかいホラ話の大伽藍がどどーんと。
細々した伏線もきちんと回収し、綺麗な大団円、いやあ今回も楽しませていただきました。
ただ潮音ちゃんはもう少し活躍させてあげても良かったんじゃ。

あと印象に残ったのが、主人公達が食べる弁当や食事の美味しそうなこと!(←そこかい!)
毎日、専属料理人が腕をふるってくれたら、そりゃぽっちゃりにもなるわなあ。
超能力一族、大金持ち! う、うらやましい〜。 メタボになりそうだけど。

ほんと、こういう面白くて美味しそうな本読むと、お酒が進みます(←あかんわこりゃ)

(注:素面で読んでもとっても面白い本です!)

(11.7.12.)

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