万城目学/かのこちゃんとマドレーヌ夫人
(ちくまプリマー新書 2010年)




Amazon.co.jp : かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)


元気な小学一年生・かのこちゃんと優雅な猫・マドレーヌ夫人
その毎日は、思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに充ち満ちている。


珠玉の名品!


すみません、万城目学さんをなめてました。

先月のこと、書店でこの本を見かけ、

「あれー、ホラフキ万城目さんの小説がまた出てるぞ。
 へえー、筑摩書房から、しかも新書!? 変なのー。」

と思いながらも買って、でもずっと積んでいたのですが、
昨日なにげなくトイレで(トイレかよ)読み始めたら止まらなくなりました。

風呂でも読んで、寝床でも読んで、一気に読み終えて、心の中で叫びました。

 大傑作じゃー!

ほんとは口に出して叫びたかったけれど、夜中だったのでやめました。

ホルモー鹿男プリンセス・トヨトミも面白かったけれど、
さらに素晴らしかったでありますっ! 感動したでありますっ!! 文句ありませんでありますっ!!!

けっして子供向けのお話ではなく、かつて子供だった大人のための小説といえましょう。
タイトルから想像されるほど甘いお話ではありません。
小学一年生のかのこちゃん、同級生のすずちゃん、猫のマドレーヌ夫人、犬の玄三郎たちの、
出会いと別れと成長が、ユーモラスかつ軽やかにつづられます。
いくつもの別れに涙しながらも、前を向いて成長してゆくかのこちゃんの姿、たくましくも爽やかです。

読み終わって思うのは、

 「モーツァルトの音楽のような小説」

一見軽くて、わかりやすくて、遊び戯れているようだけど、哀しみや死の気配もそこかしこに。
でも根本的には前向きで真摯。
無駄に長くなく、綺麗にすっきりまとまっているのも素敵です。
末永く読み継がれるに足る名作小説の誕生だと思います。

「猫文学」としても、かの「吾輩は猫である」 「ジェニィ」などに引けを取らないレベルに達しているのではないかと。
また、全体にただようほのぼのとした雰囲気は、「ノンちゃん雲に乗る」を連想させます。

「鹿男あをによし」と、ちょっとだけリンクしているのも楽しかったです。
かのこちゃんのお父さんは、どうやらあの人のようですね。


(10.3.19.)


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