バッハ/ゴルトベルク変奏曲
(ロザリン・テューリック 1998録音)
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バッハ「ゴルトベルク変奏曲」の最多録音記録を持つピアニストとしてギネスブックに載っている・・・かどうかは知りませんが、
アメリカのピアニスト、ロザリン・テューレック(1914〜2003)は、この曲をなんと7回も録音しています。
(1)90分20秒 1947年、モノラル、セッション(Allegro 3033)
(2)96分24秒 1957年6月、モノラル、セッション(EMI ALP1548-9)
(3)82分59秒 1978年3月、ステレオ、セッション(COLUMBIA M2 35900)
(4)88分47秒 1980年12月、ステレオ、セッション(Fonovox Scalen)
(5)74分46秒 1979-84年、ステレオ、セッション(VAI VAIA1029)
(6)92分38秒 1995年6月、デジタル、サンクトペテルベルク・ライヴ(VAI VAIA1142)
(7)91分10秒 1998年3月、デジタル、セッション(DG 4595992)
数字は演奏時間です。
代表的名盤とされるグレン・グールドの1981年盤が51分19秒ですから、どれもかなり遅いテンポです。
ちなみにグールドの1955年盤に至っては38分35秒、繰り返しを省略しているとはいえ、同じ曲とは思えない数字です。
以前購入した、ロザリン・テューレックのバッハ10枚組ボックスに収められていたのは1957年の録音でした。
ただしこのセット、CD制作時のミスで第26変奏以降が収録されていません。
まあ安いから仕方ない・・・のかなあ。
そこで、1998年にドイツ・グラモフォンに録音されたこのCDを買ってみました。
84歳のテューレック最後のゴルトベルクであり、集大成とも言うべき演奏。
ゆったりした歩みで紡がれる明晰な音が端正な対位法を浮かび上がらせ、
驚くほど透明な響きはささくれだったり野暮ったくなることなく、音の輪郭も冴え冴えと際立ちます。
90分以上かかりますから、当然のごとく2枚組です。
第5変奏
ちなみにグールドの1955年録音だと・・・・・・これホントに同じ曲ですか??
第10変奏・・・こりゃまた悠然たる演奏ですな
ちなみにグールドの第10変奏がこれ
面白いことに、グレン・グールドはロザリン・テューレックを敬愛していたそうです。
「彼女と僕は音楽に対し非常に異なる理解をしているけど、僕に納得できるバッハを演奏してくれた最初の人だ」(グレン・グールド)
テンポは遅くとも一瞬たりとも弛緩することなく、一音一音表情豊かであり、隅々まで神経の行き届いた歌い回し。
音色をデリケートに変化させ、メロディを緻密に息づかせて明滅する音の移ろいを鮮やかに映し出します。
グールドと並び称されるべき名演奏じゃないでしょうか、これ。
ふたりのアプローチは全く違っているようで、実は同じ根っこから生えた別々の花のように思えるのが興味深いです。
アリア
(2020.02.24.)
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