やまみちゆか/パガニーニ〜悪魔と呼ばれた超絶技巧ヴァイオリニスト
(YAMAHA 2025年)



Amazon : やまみちゆか/パガニーニ


SNSで連載当時から愛読していたやまみちゆかさんによるニコロ・パガニーニの伝記漫画が書籍化!

息子を溺愛し、友情に篤く、義理堅く、でもお金には執着し、女にはだらしない、
人間味あふれる天才音楽家パガニーニがポップな絵柄で描かれます。

「悪魔に魂を売ったヴァイオリニスト」という陰気なイメージが反転します。
 
 この人、元祖ヴィジュアル系アーティストです。

ヴァイオリンの超絶技巧で魅せるだけでなく、意識的に「悪魔キャラ」を演じることでさらに聴衆を惹きつけていたんですね。
デーモン小暮閣下の大先輩なわけです。


                                     (SNSに載せていたパガニーニ紹介イラスト。書籍には収録されていません)

同時代&後世の音楽家にも多大な影響を与えました。


                                     (SNSに載せていたパガニーニ紹介イラスト。書籍には収録されていません)


「超絶技巧ヴァイオリニスト」のイメージが強すぎて忘れられがちですが、作曲家としても紛れもない天才。
とくにメロディ・センスは超一級で、メンデルスゾーンやショパンにも負けていないと思います(リストには勝ってるんじゃ?)。

 ヴァイオリンとギターのためのソナタ 作品2−1
 (←なにこの名旋律!)


多くの海外文献にも当たり、わかりやすいと同時にハイレベルな評伝です。
とくにパガニーニのシングル・ファーザーぶりが愛情たっぷりに描かれているのにはほっこりします。
読めばパガニーニ・ファンになること請け合い。
おもわずヨーロッパにパガニーニケーキを買いに行きたくなります(売ってねえ)。

章の間や巻末に掲載されているコラムは結構専門的で、
メンデルスゾーンと共演したことがあるとか、クララ・シューマンにも会ったことがあるとか、「へえ〜」と言いたくなる話が満載です。

ちょっと残念なのが、若き日の恋人ディーダのエピソードがほぼ削られて、最後のほうでちょっと触れられるだけになっていること。
現在、彼女の存在自体がフィクションとの説があるのが関係しているのでしょうか。
2025年10月現在、SNS上ではまだ読めるので、興味のある方は探して読んでください。

この場面、好きだなあ。
  ↓


浦久俊彦「悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト〜パガニーニ伝」と合わせて読めば、あなたも立派なパガニーニストです!
一日一曲はパガニーニを聴かないとめまいがする身体に・・・なりませんのでご安心を。


 24のカプリースより第24番
 

やまみちゆかさんは、ほかにもクラシック音楽のコミックを描かれています。
「クラシック作曲家列伝」 「マンガでわかるクラシック音楽の歴史」を持っていますが、
どちらも高度な内容を楽しくわかりやすく教えてくれる名著でした。

(2025.10.12.)


関連記事
パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲(庄司紗矢香)
パガニーニ・フォー・トゥー
パガニーニ/3つの弦楽四重奏曲
パガニーニ/ヴィオラとギターのための作品集


浦久俊彦/悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト〜パガニーニ伝

「更新履歴」へ

「本の感想小屋」へ

「整理戸棚(索引)」へ

HOMEへ