パガニーニ/3つの弦楽四重奏曲
(アマティ・アンサンブル四重奏団 2012年)




Amazon : パガニーニ/弦楽四重奏曲集 (Paganini: String Quartets)


先日、浦久俊彦「悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト〜パガニーニ伝」を読んで以来、ニコロ・パガニーニ(1782〜1840)のことが気になる今日このごろ。

で、ちょっと調べていたらパガニーニって、弦楽四重奏曲を3曲残しているんですね。
室内楽には縁のなさそうなイメージなので意外でした。
1815年にまとめて書かれ、サルジニア王の御前演奏会で演奏されたと言われています。
どれどれ、どんな曲でしょうか。

全曲


・・・う、美しいではありませんか!
全編これカンタービレ、イタリアの歌ですよ! カンターレですよ! アモーレですよ! ボンジョールノですよ!
伸びやかで屈託のないメロディ、晴れた青空のような清々しい音楽、素晴らしい!

これほどの曲がなぜ有名でないのだろうと不思議に思いながら聴いておりましたら、だんだん違和感が。

 この曲、なんか変だ・・・・・・。


 メロディ弾いているの、第一ヴァイオリンだけじゃん!

そう、第一ヴァイオリンは八面六臂の大活躍、縦横無尽に歌いまくるうえにカデンツァみたいな箇所もあり、ソリスト級の名手が必要です。
しかし、第二ヴァイオリン以下は完全に伴奏です、きざみです、縁の下の力持ちです。
アマチュアでも勤まるんじゃないかと思うほど (いや私は弾けませんが)。
プロだったら欲求不満でフラストレーションたまるかも、あるいは仕事が楽でラッキー?

どの曲も第一ヴァイオリンの独擅場でしかなく、各楽器のインタープレイは望むべくもありません。
これ、弦楽四重奏である意味って・・・?
はっきり言ってヴァイオリン独奏とピアノ伴奏でもいいんじゃないの、二人で済むし、と思っちゃいます。

それでも音楽としては絶美であり、ヴァイオリンの艶のある歌、息の長い叙情的なメロディ、機知に富んだフレーズ、活発なリズムがあふれんばかり、なんなんですかこれは。
まあ、パガニーニらしいといえばこれほどパガニーニらしい弦楽四重奏曲はありませんが・・・。

例外は第3番の第3楽章「アンダンテと変奏」(上の動画の49:35〜)。
第2変奏ではチェロ、第3変奏ではヴィオラが主旋律を奏でます。
「そこだけかい!」と言いたくなりますが、はいそこだけです、ただしこの部分がとっても美しいから始末が悪い(とくにヴィオラ最高!)。
やっぱりパガニーニってメロディの天才。

弦楽四重奏曲としてはどうかと思いますが、音楽としてはどれも美しいし、ヴァイオリンの「うた」を堪能するには絶好です。
弦楽器好きならいちどは聴いておいて損はないのではないかと。
ただ実際に演奏するとなると、第二ヴァイオリン以下の不平不満をどう黙らせるかが課題となりそうです。

(2020.04.23.)


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