「入江のざわめき〜スペイン・ピアノ名曲集」
アリシア・デ・ラローチャ独奏



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今年(2009年)、アニヴァーサル・イヤーを迎える作曲家には、
没後250年のヘンデル、没後200年のハイドン、生誕200年のメンデルスゾーンなど、大物がずらりずらずら。

でも忘れちゃいけないのが、没後100年のイサーク・アルベニス(1860〜1909)。
スペインが生んだ快男児であります。

4歳でピアノ・リサイタルを開き、6歳でパリ音楽院を受験します。
実技試験は難なくこなしたものの、そのあと廊下でボール遊びをしてしまい、飾ってあった鏡を壊して大目玉。
結局、年が足りないという理由で入学を断られてしまいます (なんじゃそりゃ)

その後マドリード音楽院に入ったものの、堅苦しい学校は肌に合わず、10歳からスペイン全土を放浪。
得意のピアノでお金には困らなかったらしいです。

ついには港町カディスから船に乗り込み、アルゼンチン、ブラジル、キューバをめぐり、
12歳の時にはアメリカにいて、さらにイギリス、ドイツを旅してまわったということです。

 いやー、凄い人だ。。。。

と思ったら、これら波乱万丈の経歴はアルベニス自身の話を書き留めたもので、今ではほとんどが真っ赤なウソであることが判明しているんだそうです・・・。

 経歴詐称じゃー!

しかしまあ、本人を責めるのも酷な面もあります。
社交界で人気のチョイ悪オヤジが、酔っ払って「俺はなぁ、若いころには冒険家でなぁ」とハナシを盛ってテキトーなホラを吹いたのを
まわりが真に受けてしまい、後世にそのまま伝えてしまったわけです。
アルベニス自身にも、「いかにもこいつならやりそうだ」的雰囲気があったんですね。

天真爛漫で屈託がなく、快活でズボラな人柄は多くの人に愛されたそうです。
精力的に作曲活動をしたパリでは、ダンディ、ショーソン、デュカス、フォーレ、ドビュッシーなどそうそうたる面々と、「オレ・オマエ」の付き合いだったとか。

デュカスはアルベニスのことを、「ドン・キホーテの心を持ったサンチョ・パンサ」と呼び、
彼が死んだとき友人たちは、「あいつは嘘ばかりついていたが、あいつほど約束をよく守った奴もいなかったな」
と偲んだそうです。

 なんかエエ話やな〜。

アルベニスの代表作といえば、晩年の大傑作、組曲「イベリア」ということになるのでしょうが、ちょっととっつきにくいことは否定できません。
私はもっぱら肩のこらない小品ばかり聴いています。
宝石のような珠玉の名曲ぞろい、経歴に疑問があっても、その天才に疑問はありません。

「入江のざわめき〜スペイン・ピアノ名曲集」
は、アルベニスの名曲8曲のほか、グラナドストゥーリナ、ファリャの作品も収録され、
これ一枚でスペイン近代ピアノ曲を見渡すことができるステキな一枚です。

先ごろ86歳で亡くなった、アリシア・デ・ラローチャの演奏も絶品中の絶品。

余談ですが、フランスのサルコジ大統領の前妻・セシリアさんは、アルベニスの曾孫にあたるそうです。

 アルベニス「組曲・スペイン」より「タンゴ」(ラローチャ)
 

 アルベニス「スペインの歌」より「アストゥーリアス」(このCDの演奏ではありません)
 

(09.9.30.)






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