ポール・デスモンド/ファースト・プレイス・アゲイン
Paul Desmond/First Place Again
(1959)



Amazon.co.jp : First Place Again


ジャズは体系的に聴いていないので、あまり語れませんが、
「お気に入り」のアルバムはけっこうたくさんあって、よく聴き返してます。
そのなかの1枚です。

ポール・デスモンド(1924〜1977)は、デイヴ・ブルーベック・カルテットのアルト・サックス奏者として、
あるいは名曲「テイク・ファイヴ」の作曲者として有名ですが、
名ギタリスト、ジム・ホールともカルテットを組んで、何枚かのアルバムを残しました。
1959年に録音されたこのアルバムは、ホールと初めて組んだ作品ですが、
デスモンドの残したすべてのアルバムの中でこれを最高傑作にあげる人も多い名盤です。

デスモンドのプレイの特徴は、ジェントル、リリカル、ソフトでスムース、
はっきり言ってしまえば限りなくイージーリスニング的なのですが、
なぜかいわく言いがたい格調の高さを感じさせます。
このアルバムも20年近く聴いているのですが、いまだに飽きません。

この作品は、デスモンドが「プレイボーイ」誌のサックス奏者人気投票第1位に返り咲いた記念に録音されたもので
ド派手なジャケットはそれにちなんだためなんでしょうね、
これほど内容とかけ離れたジャケットも珍しいと思います。
そのせいか最近再発されたCDは、別ジャケットになっています。
デスモンドのサックスはここでもソフトでリリック、その最良の面を遺憾なく発揮しています。

「私はクリミア戦争直後からずっとデイヴ・ブルーベック・カルテットに所属しているアルト・サックス奏者です。
4人のうちのどれかというと、演奏していないとき、いつもピアノにもたれている男です。
私はまた、他の3人に比べて笑顔を見せない男として知られています。
これは管楽器奏者の宿命というべきで、マウス・ピースをくわえて笑える人間はめったにいないのです。
ベニー・グッドマンも、この点についてはずいぶん悲しい思いをしたはずです。
私は世界で最もスローなアルト奏者としていくつかの賞をもらいましたが、
さらに1961年には最も静かだということで特別賞に輝きました。」
(アルバム
「テイク・テン」のライナーノーツより)

この文章はもちろんデズモンド流のジョークですが(クリミア戦争終結って1856年だし)
生涯独身を通し(女性にはもてたらしいですが)、52歳で肺がんで亡くなった
心やさしい男の人柄がしのばれます。

  I Get a Kick Out of You
 

(01.12.7.記)


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