デイヴ・ブルーベック・カルテット/デイヴ・ディグズ・ディズニー
(The Dave Brubeck Quartet/Dave Digs Disney)
(1957)


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50年代ジャズと言えば、私のイメージは・・・・

 NY下町の薄暗いバー、たちこめる紫煙、寡黙なバーテンダーが作るウィスキー・オン・ザ・ロック、
 酒とクスリで身体がズタズタのミュージシャンが、魂を切り裂くような音をしぼり出す・・・

 「ああ、スティーヴン、もうステージに上がるのは止めて頂戴。 あなた、死んでしまうわ」

 「止めないでくれキャサリン、俺はこいつを吹いてるときだけ、生きてることを実感できるのさ・・・」

 ・・・ともかくチャーリー・パーカー、バド・パウエルマイルス・デイヴィスたちが自在に闊歩していた世界。

しかるに・・・
1957年に録音されたこのアルバムの、ほのぼの&能天気ぶりは一体何事!

 デイヴ・ブルーベック・カルテット/デイヴ・ディグズ・ディズニー

前髪の後退したデイヴ・ブルーベックの「ふにゃぁ〜」とだらしのない笑顔、もう緊張感のかけらも感じられません。
おまけにバックはディズニー・キャラ、なにもそこまでしなくても、と思ってしまいます。

もちろんこれは、発毛促進剤の宣伝写真ではありません。
「不思議の国のアリス」「ハイ・ホー」「口笛吹いて」「星に願いを」「いつか王子様が」など、
ディズニー映画の挿入曲を明るく楽しく演奏した、れっきとしたジャズ・アルバムです。
ま、歳をとると、こういうアルバムを縁側でお茶すすりながら聴くのも、幸せ。
若いヒトは、もっと毒のあるものを聴くように・・・って、スンマセン私これ若いころから聴いてます。 

頭韻を踏んだしゃれたアルバム・タイトル、
デイヴ・ブルーベックの理屈っぽいスクエアなピアノと、ポール・デスモンドの暖かく叙情的なサックスの対照の妙、
ノーマン・ベイツジョー・モレロのきざむ力強いスインギーなリズム、どこかで聴いた懐かしいメロディの数々・・・。
録音から50年近い今も、幅広いリスナーから愛されています。
そもそも、「お子様映画」であるディズニーの曲で、まるまる一枚アルバムを作ろうという発想が(当時としては)すごいです。
そして、出来上がったアルバムが、ジャズとしてきわめてレベルの高い傑作なのが、またすごい。
「Time Out」」と並ぶ、デイヴ・ブルーベック・カルテットの代表作。

「不思議の国のアリス」は、ビル・エヴァンズの「Sunday At The Village Vanguard」(1961)の演奏も有名です。
エヴァンズのアリスが優雅でおしとやかな小さな淑女なら、ブルーベックのは無邪気で陽気なおてんば娘、どちらも素敵。
元気いっぱいの「ハイ・ホー」、意表を突いてミディアム・テンポでスイングする「星に願いを」
三拍子に乗ったデズモンドの流麗なアドリブが最高に素晴らしい「いつか王子様が」・・・。
我が家では、娘と一緒に聴いてます。

 いつか王子様が
 

(06.3.21.)

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