山川直人/コーヒーもう一杯(全5巻)
(エンターブレイン 2005〜2009年)
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近所に、ちょっと良い感じの珈琲店があります。
ご主人は、当たり前ですが珈琲の専門家。
面白いことに、メニューには「コーヒー」ではなく「コーフィー」と表記しています。
"Coffee"だから、このほうがモトの発音に近い、ということでしょう。
口に出すときも「コァフィー」って感じで、「コ」にアクセントが来ます。
もう「コーヒー」って、日本語になってるんだからいいのでは、
とも思いますが、なにか譲れないものがあるのでしょう。
そういえば高校の英語の授業では
"e"がふたつ並ぶ単語はほとんどの場合そこにアクセントがくる、と習いました。
例外は"coffee"と"committee(委員会)"だけなんだそうです。
ホントでしょうか?
私も「コーフィー」大好きで、ほとんど毎朝、豆を挽いて淹れてます。
もちろん、「コァフィー」さんの店で買っています。
朝食はニョウボが作りますが、「コーフィー」を淹れるのは私の仕事。
マンデリンとモカを自分でブレンドしていた時期もありましたが、
最近は面倒なので、店で売ってるブレンドの豆をそのまま使っています。
ところがこの店、ブレンドが何種類もあるのです。
深煎り、浅煎り、フレンチロースト、酸味系ブレンド、苦味系ブレンド、ブルーマウンテン・ベースのブレンド(ちょっと高い)・・・etc
今はやや深煎り系のブレンドを使ってますが、ときどき変えてみるのも楽しみです。
山川直人「コーヒーもう一杯」は、
コーヒーをテーマあるいは小道具にした短編集。
木版画のような独特の絵柄で描かれる、叙情的でレトロな物語ぞろい。
温かくて少し悲しいものが多いですが、過度なセンチメンタルは排除され、
どこかメルヘンティックな浮遊感が漂います。

背景も細かく書き込んでますが、スクリーントーンなどは使わないそうで、すべて手書き。
そう思って見ると、なるほど手が込んでいます。
さぞ描くのに時間かかるでしょうね。
ていねいな手作りの味わいが感じられる漫画。
読むとほっこり、優しい気分になります。
そして、やたらとコーヒーが淹れたくなります。
(09.10.11.)
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