カルロ・テッサリーニ/協奏曲とシンフォニア集
(Compagnia de Musici, 2003録音)



Tower : テッサリーニ/協奏曲とシンフォニア集

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2〜3年前まで名前も知らなかった作曲家ですが、今ではすっかりお気に入りなのが、

 カルロ・テッサリーニ(1690〜1766)です。

ヴィヴァルディの弟子で、1731年までヴェネチアのサン・マルコ寺院でヴァイオリニストとして勤務、
その後フリーとなりフランス、オランダ、イギリスなどへ大規模なコンサートツアーを行い、
各地の出版社への営業活動も惜しまなかったという精力的な人で、1766年にアムステルダムで亡くなりました。

生前は広くヨーロッパで知られていたそうで、作品はキャッチーで爽やか、ヴィヴァルディゆずりのポップなセンスが光りますが、
それだけではなくアルビノーニを思わせる優雅さも兼ね備えています(い、いや、べつにヴィヴァルディが優雅じゃないっていうんじゃなくて・・・)。

 コントラスト・アルモニコ作品10 第1番 第1楽章 (華やかで堂々としたヴァイオリン協奏曲)
 

 五声の協奏曲 作品1の4 第3楽章 (ヴィヴァルディそっくり!)
 

これほどの作曲家がなぜ忘れ去られたのか理解に苦しむほどですが、
師匠のヴィヴァルディでさえ20世紀前半まで忘れられていたことを思えば、致し方ないのかな。

フルート協奏曲もあります。

 五声の協奏曲 ニ長調 第1楽章 (サワヤカ〜)
 

テッサリーニの時代はバロックから古典派への移行期だったので、初期ハイドンを連想するホモフォニーな曲も書いてます。
「グランド・シンフォニー」と呼ばれる作品は、すでにバロックではなく前期古典派の響きがします

 グランド・シンフォニー第3番 第1楽章 (管楽器も使っていて、ハイドンの初期交響曲みたい)
 

 グランド・シンフォニー第3番 第3楽章 (いやこりゃハイドンでしょ、大胆な転調が素敵)
 

 グランド・シンフォニー第5番 第1楽章 (早くもソナタ形式が見て取れます)
 

それほどCDも出ていなくて、テッサリーニ作品の全体像はよくわかりません。
以前ヴァイオリン・ソナタ集作品14をご紹介しているので、まだ多くの作品が眠っているはず。
わたしはこれまで3枚ほど聴きましたが、すべて「大当たり」、私の好みのど真ん中でした、もっと聴きたいよ〜。

生前は高い人気と実力を誇りながら、亡くなったとたんに歴史のはざまに消えてしまう作曲家って、たくさんいるのでしょうね・・・。

(2022.12.25.)


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