テッサリーニ/室内楽のためのアレッタメント集(Allettamenti da Camera)
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カルロ・テッサリーニ(1690?〜1766)。
CDを見つけたら反射的に買ってしまう作曲家のひとりです。
置き場もないのに・・・。
まあCDあんまり出ないので大丈夫です。
若い頃はヴェネチアでヴィヴァルディに師事したとも言われ、
後年はローマをはじめイタリア諸都市の教会や宮廷で作曲家・ヴァイオリニストとして活動、
さらにはイギリス、ドイツ、フランスなどに演奏旅行した形跡があり、最後はオランダのアムステルダムで亡くなっています。
室内楽のためのアレッタメント集 作品3(Allettamenti da Camera Op.3)
は、1740年にローマで出版されました。
ローマで人気があったヨーク公ヘンリー殿下(当時15歳)に捧げられています。
ヨーク公ヘンリーは、1688年の名誉革命で追放されたイングランド王ジェームズ2世の孫で、スチュアート朝の末裔。
チェロの愛好者であり、22歳で枢機卿となります。
タイトルの「アレッタメント」は、あまり聴かない言葉です。
「荒れた面?」・・・ほっといてくれ!
ではなくて、イタリア語で「誘惑」「魅惑」を意味する言葉、「魅惑的な曲集」という意味でしょう。
基本的に3楽章からなるヴァイオリン・ソナタです。
第3番 第1楽章 アダージョ (あたたかく伸びやかな旋律がホントに魅惑的です)
第4番 第3楽章 プレスト (幸福感に溢れた屈託のなさ)
作品は5つの「アレッタメント」と1つのカプリッチョからなり、すべて長調です。
様式的にはバロックと古典派の過渡期にあたり、メロディと伴奏が区別され、シンプルなソナタ形式も見て取れます。
でも型式なんかはどうでもよくて、
全曲を貫く愉悦感と華やぎ、輝くばかりのメロディの艶、溢れんばかりのうたごころにただただ魅惑されます。
最後のカプリッチョは自由奔放で技巧的なヴァイオリン曲です。
ヴァイオリンの名手でもあったテッサリーニが存分に腕前を披露するかのよう。
カプリッチョ 第1楽章 (自由に羽ばたくように舞い踊るヴァイオリン!)
どの曲もたしかに「魅惑的」、看板に偽りなしです。
忘れられるには惜しい、じつに素敵な曲集です(テッサリーニの作品は全部そう)。
(2024.09.23.)
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