朝吹真理子/きことわ
(新潮社 2011)
Amazon.co.jp : きことわ
Brian Eno/Small Craft on a Milk Sea
(2010)
Amazon.co.jp : Small Craft On A Milk Sea [解説・ボーナストラック付き国内盤]
HMV : Small Craft on a Milk Sea
Tower@jp : Small Craft On A Milk Sea
去る2月11日は、不詳私の誕生日でありました。
ああ、またひとつ年をとってしまった・・・いまいましいぜ。
お祝い気分でもなかったのですが、夕食は一家で近所のステーキハウスへ。
何年ぶりだろ、この店、えーい、一番高いステーキコースを奮発だっ!(←やけくそ入ってます)
美味しかったけど、普段食べない高級肉に胃袋がびっくりしたのでしょうか、
翌日の昼ごろまで胃がもたれて・・・ああ、気分悪う〜(われながら何やってるんだか)。
もっとも、同じものを同じ量食べた娘たちはケロリとしていたので、結局のところ年のせいかっ?
さすがに胃が弱くなったのかなあ・・・?
いかんっ、ふだんからもっといっぱい食べて胃袋を鍛えねばっ!(←違う)
とりあえず長女がバレンタインのためにこさえたガトーショコラを横取りして胃袋のトレーニングに励んだ次第(←だから違うって)。
翌2月12日(土)は、夕方から仕事。
なので昼間は家で休養しました。
心身を安らか、かつすこやかに保ちつつ、静かに鋭気をやしないました。
・・・要するに家でゴロゴロしていたってことですが。
まあ、外はみぞれ混じりの冷たい雨、風も強いし、とてもじゃないですが外出する気にはなれません。
ベッドにひっくり返って「文藝春秋 2011年3月号」を読みました。
この雑誌買うのも久しぶり。
いま話題の第144回芥川賞受賞作がお目当てです。
朝吹真理子「きことわ」
玲瓏たる言葉たちが現実と非現実のあわいを浮遊します。
過去と現在、微小と極大、誕生と死、夢と覚醒が対比され、ひとつにつながり、かたちづくられる円環。
描かれているのは「幽玄、わび、さび」、なにものかがうつくしく滅びてゆくさまか。
秀麗にして瀟洒、きわめて感覚的な作品であり、読むとわけもなくムツカシイ言葉が使いたくなって困りもんです。
緻密に彫琢された言葉の迷宮をさまよいながらBGMとして流したのは、
ブライアン・イーノの"Small Craft on a Milk Sea"(2010)
この小説にぴったり!
「ミルクの海に浮かぶ小舟」とは、なんともロマンティックなタイトル。
名盤「鏡面界」「Music for Films」のころのイーノが戻ってきたみたいです。
全曲インストゥルメンタル、イーノのヴォーカルを聴かなくてイーノは素晴らしイーノ!(←めちゃくちゃ失礼やん!)
静謐なアンビエント・ミュージックあり、尖鋭なミュージック・コンクレートあり、アコースティックあり、電子音ありと、聴くもののイマジネーションをビンビン刺激してくれます。
イーノによれば、この作品は「音による映画 (sound-only movies)」なんだそうです。
言われてみれば、「きことわ」のほうは、「言葉による映画」のようであります。
赤い靴下と紅葉、向日葵と道路反射鏡、雪の結晶と満月など、きわめて映像的ですが、実際に映画にしてしまうと、たぶん興ざめ。
読者が頭の中で映像を思い浮かべるしかありません。
鑑賞者の想像力も問われているのでしょうか。
あと、「文藝春秋 3月号」で印象に残ったのは、小川洋子さんのエッセイ。
今年2011年は「素数の年」なんだそうです。
2011自体素数であると同時に、連続する11個の素数の和であり(157+163+167+173+179+181+191+193+197+199+211)、
連続する3つの素数の和(661+673+677)でもあると。
あともちろん平成23年の23も素数ですね。
こういうことに気がつく人って、どんな脳の構造しているんだろ・・・・。
「素数の音楽」が聴こえているんでしょうね、きっと。
はあー、頭の中でミルクの海やらゆれうごく洗濯物やら素数やらがぐるぐるして、なんだか夢見心地になってきましたよ・・・・・。
飲んでないのに酔っぱらったみたいな気分。
あ、もう時間だ、それでは仕事にいってきまーす!(←気をつけろよ)。
(11.2.13.)
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