プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ第1&2番ほか
(庄司紗矢香・Vn イタマール・ゴラン・Pf)

(ドイツ・グラモフォン UCCG−1183、 国内盤)



Amazon.co.jp : プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番&第2番


若き名ヴァイオリニスト、庄司紗矢香さんの3枚目のアルバム。
前作で、シマノフスキのヴァイオリン・ソナタという珍しい曲をとりあげた庄司さんですが、
今回もプロコフィエフの2つのソナタショスタコーヴィチの前奏曲集(ヴァイオリンとピアノのための編曲版)という渋い選曲。
二十歳やそこらのヴァイオリニストが弾く曲ですかこれが。

プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタには、たいへん世評高い一枚があります。
クレーメル&アルゲリッチ盤(ドイツ・グラモフォン、1991年)で、これは私の刷り込み演奏でもあります。
壮絶で鬼気迫るパフォーマンス。第2番のスケルツォを初めて聴いたときの衝撃は忘れられません。

 

同じレーベルであり、庄司さんもクレーメル盤は当然念頭にあったはずで、さてさてどういう演奏なのかな。

やはりと言うか、迫力という点ではクレーメル&アルゲリッチのほうが上ですが、
庄司&ゴランは、繊細さ、デリケートな響きという点で、この曲のまた別の面を聴かせてくれます。

ピアニストの違いが、やっぱり大きいのかな。
アルゲリッチの即興的で挑みかかるようなピアノだと、どうしても丁々発止と渡り合う演奏になりますが、
堅実な伴奏ピアニストであるゴランが相手だと、じっくり自分の解釈を練る事ができます。
結果、細かいニュアンスや表情は、庄司さんの演奏のほうが丁寧で好ましいのでは。
エキセントリックでデモーニッシュだと思っていたプロコフィエフのソナタが、優雅でロマンティックな音楽として立ち現れるのは新鮮な驚き。
「ホントはこういう曲だったのか、これ」と、思わされます。

たとえて言えば、クレーメル&アルゲリッチが、スパイスたっぷりふりかけた血の滴るステーキだとしたら、
庄司&ゴランは、同じ肉を使ってあっさりした冷しゃぶを作ったようなものか。
素材自体の味を上手く生かしているのは、以外と庄司紗矢香さんのほうかもしれません。

余白に収められたショスタコーヴィチも、とても面白い。
「ピアノのための24の前奏曲 作品34」のうち14曲をヴァイオリンとピアノのために編曲したもの。
どの曲も1〜2分と短いので、庄司さんの表現の多彩さを存分に味わえます。
いわばメインディッシュの後の、よりどりデザートか。
どうも今回は食べ物の比喩が多いなあ。 はい、実は腹減ってます。 そろそろ夕ごはんだな。

 プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第2番・第1楽章(このCDの演奏ではありません)
 

(04.5.16.記)



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