庄司紗矢香/ルーヴル・リサイタル(DG UCCG-1100)




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先月、生で聴いてすっかりファンになってしまった庄司紗矢香のセカンド・アルバム。
2001年9月、ルーヴル美術館地下オーディトリアムでのライヴです。
実演で燃えるタイプのようなので、ライヴアルバムには期待大です。
曲目は、

 ドヴォルザーク/4つのロマンティックな小品
 シマノフスキ/ヴァイオリン・ソナタ
 ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第2番、
 ラヴェル/ツィガーヌ


チェコ、ポーランド、ドイツ、フランスと、一見ばらばらなチョイスですが、
各作品の作曲年代を見ると、最も古いブラームスが1886年、最も新しいラヴェルが1924年
世紀の変わり目を挟んだわずか40年の間に作曲された作品を集めた、巧みなプログラミングだと思います。

最初のドヴォルザーク/4つのロマンティックな小品は、諏訪内晶子の98年のアルバム「スラヴォニック」でも冒頭に置かれていた曲(もちろんこちらはスタジオ録音ですが)。
べつに意識してるわけじゃないでしょうが、面白い偶然です。

 第1曲
 

興味深いのが2曲目のシマノフスキ/ヴァイオリン・ソナタ
私にとっては初めて聴く曲、、おまけに一聴しただけではわかりにくい作品で、5回くらい聴いてようやく曲の中身が見えてきました (^o^;)。
庄司紗矢香は、最近リサイタルでこの曲を積極的に取り上げているそうで、若いのにすごいなあと、わけもなく感心。
完全燃焼・没入型の演奏で、この曲のラプソディックで情熱的な面を鮮やかに浮かび上がらせてくれます。

 第1楽章
 

つづくブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番。ブラームスの3曲のソナタの中でも最もメロディが美しい曲だと思います
(最高傑作はと言われれば第3番だと思いますが)。
庄司紗矢香はのびやかに余裕を持って弾きこなしています。
シマノフスキとは対照的に、素直な音で淡々と弾いているようですが、優雅でロマンティックな素晴らしい演奏だと思いました。

 第3楽章
 

そして最後のツィガーヌ
最初の4分に及ぶ無伴奏の部分がもう圧巻。
連続重音にフラジョレット、左手のピチカート、当たり前ですがすべてが完璧です。
ピアノが入ってきてからも余裕の弾きっぷりで超絶技巧をつぎつぎ決めてゆきますが、
ところによってはわざと崩してユーモラスに弾いてみせる(ように私には聴こえる)恐るべき18歳です。
外見的には小柄で細い少女からこれほどの音楽が溢れ出してくるのですから、当日のお客さんたちはさぞ唖然としたのでは?

(01.11.22.記)


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