モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488より第1楽章
文中のタイミング表示は、このCDによっています。鍵盤の貴公子ポリーニ、若き日の名盤です。
Amazon.co.jp モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番&第23番
カップリング違いですがこれもいいな(Amazon)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
管弦楽提示部は0:00から2:09まで。 まず第1ヴァイオリンに第一主題が(譜例1)。
優雅なメロディね。大きな鳥がゆっくりと羽を広げるような・・・ふわ〜・・・おっと、あわわ、寝てない、寝てない。
木管楽器で繰り返され、0:35から経過部。 元気の良いメロディが、新しく登場するわ(譜例2)。
譜例2
0:59から第二主題(譜例3)。ただしまだもとのイ長調のまま。 この主題はカンタービレ(歌うように)と指定されているの。
確かに、歌うような、流れるような・・・鳥たちの愛の語らいでしょうか。
べつにイメージを限定することはないけど・・・何で鳥なの?
いやー、無性に焼き鳥が食べたくなっちゃって。 ああ、腹減ったなあ・・・。
睡眠のつぎは食欲・・・本能のままに生きてるな。コイツは。
1:31から小結尾部。弦楽器と管楽器が歌い交わしながら2:09で提示部はいったん終わりね。
つづいて協奏提示部(2:10から4:36まで)。 2:10、ピアノが第一主題を演奏しながら登場。
やっとピアノが・・・やっぱりこれって「ピアノ協奏曲」だったのね。 ちょっと疑い始めてたところだった。
2:39から経過部。経過主題(譜例2)がオーケストラに出た後、 ピアノが速いパッセージを演奏して行きながら転調してゆき、
3:10、ピアノにホ長調で第二主題。 木管楽器が繰り返し、ピアノが美しくからんでゆくわ。
優雅な感じでいいわねえ。
3:43から小結尾部。 オーケストラは管弦楽提示部のときと同じように曲を進めて行き、ピアノはそれに細かい音符で装飾を加えてゆくのよ。
そして4:25でピアノが一休み。オーケストラは経過主題を演奏して、展開部への橋渡しをするの。
いよいよ展開部ってわけね。
展開部は4:37から6:21まで。 まず、第一ヴァイオリンに新しいメロディが登場するわよ。
やさしいメロディね。提示部で出たふたつの主題に雰囲気が似てるわね。
ついでこのメロディはピアノに移り、細かく変奏されていくの。
5:02からは、このメロディをもとに木管とピアノが歌い交わす展開、
その後はオーケストラがメロディをとって、ピアノが細かい音符で絡み付いてゆくわ。
ところで、第一主題と第二主題は?
・・・じつは結局、展開部には第一主題も第二主題も顔を出さないの。
展開部に全く新しい主題を出してくることで、 曲に変化をつけているわけね。
おっとぅ、これは肩透かしだ! おかかだと思って食べたおにぎりが明太子だった、みたいな。
(よくわからんたとえ・・・?)よっぽどお腹がすいてるのかな・・・
モーツァルトらしい、大胆な作曲上のテクニックね。ここでも第一主題や第二主題が出てきたら、ちょっとしつこいと判断したのね。
6:22、第一ヴァイオリンと木管が第一主題を再現、途中からピアノも加わるわ。
再現部が始まったのかな。
そうよ。そして6:51から経過部。提示部と同じように、譜例2が演奏されて、7:21、第二主題の再現。ここではイ長調になっているわ。
8:03から結尾部。提示部と同じように進んでいくけど、8:25、展開部の主題(譜例4)がピアノに再現。
ピアノはひとしきり走り回って9:08から一休み。
オーケストラが経過主題(譜例2)で引き継ぎ、曲をカデンツァへと導くの。
カデンツァ。独奏楽器の独壇場ってやつよね。
そう。9:38から、オーケストラは沈黙。
モーツァルトの時代のカデンツァは、演奏者が自由に即興演奏を繰り広げることが多かったらしいわ。
要するにアドリブってことね。
ただしこの曲は、モーツァルト自身によるカデンツァの楽譜が残っていて、通常はそれを使用するの。
さて、10:39からオーケストラが復活して、結尾部。 優雅に曲を閉じます。
終わり方は可愛らしい感じね。きれいな曲だったわ。
よーし、お腹すいたし、なんか食べよーっと!
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モーツァルトのピアノ協奏曲第23番について
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756〜1791)は生涯に27曲のピアノ協奏曲を作曲したのよ。
もっとも1番から4番までは他の作曲家の曲を編曲したものなんだけど。
彼は腕の良いピアニストで、ピアノ協奏曲は基本的に自分がコンサートで弾くために書いたのよ。
自作自演か。現代のミュージシャンと同じじゃない。
第23番 K.488 は、美しいメロディにあふれていて、とても人気がある曲なの。
協奏曲は普通、「速い〜遅い〜速い」の3つの楽章でできていて、
この曲の場合、第2楽章は美しくも寂しげなアダージョ、
第3楽章は音符たちが跳ね回っているような華麗なロンド・フィナーレよ。
こんど全曲聴いてみま〜す。最後まで起きていられれば。
モーツアルトのピアノ協奏曲は、第20番以降はすべて円熟の傑作ぞろいね。
初期の作品でも、第9番「ジュノム」などは、後期に負けない名曲よ。
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古典派の時代には、協奏曲の第一楽章は、ほとんど協奏風ソナタ形式で書かれていたの。
しかし19世紀に入り、ロマン派の時代になると、少し分が悪くなってくるのよ。
どうして?
そもそも独奏楽器の華麗な演奏を楽しむのが協奏曲なのに、曲が始まってから何分間も独奏楽器が押し黙っているのは、何か変よね。
言われてみれば、そうね。
そこで、ロマン派時代になると、普通のソナタ形式で書かれた協奏曲が出てきたの。
代表例として、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調・第一楽章を聴きましょう → 次のページ「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲・第1楽章」へ。
(05.7.24.記)