序:素人による音楽形式談義(前口上)
:木曽家・長女です(おっとり) :木曽家・次女です(チャキチャキ)
なお、この物語はたぶんフィクションです
:姉さん、ちょっとお願いがあるんだけど・・・
:お金なら貸さないわよ。
:違わいっ! 来週、クラシックのコンサートに誘われたんだけど、わたし、クラシック聴くと必ず眠っちゃうの。
なにか眠らずにすむ方法、ないかなあ。
:なんだそんなことか・・・ いいじゃない、寝ちゃえば。音楽聴きながら眠るの、気持ちいいよ。
:そうはいかないのっ! 絶対絶対、今度だけは眠るわけにいかないのだ!
:はっは〜ん、さては「本命」の「彼」だわね。
:そ、そんなことはどうでもいいでしょ、いい方法考えてよ〜! 姉さん、クラ〜いクラシック、よく聴いてるじゃん。
:クラ〜い・・・。クラくて悪かったわよ。 能天気に明るいだけが取り柄の極楽トンボにいわれたくないわねっ!
:あ−ん、怒らないで〜。姉さんだけが頼りなのよ〜。 クラシックを眠らずに我慢して聴くには、どうすればいいの。
:我慢ってね・・・ じゃあ、ちょっと真面目に考えてあげようか。 そう、要は「クラシックがわかる」ようになれば、いいのよね。
:すぐにわかるようになるの?
:ただ聴くだけでは、ちょっと難しいかもね。
クラシックは、数百年にわたって独特の進化と変化を遂げてきた音楽だから、いくつか「約束事」があるのよ。
:「約束事」?
:ボーッと聴いては、いけないわけじゃないけど、
それは、ルールを知らずに囲碁や将棋の対局を眺めるようなもの、「面白くない」「わからない」のも無理ないわね。
短い曲ならなんとか聴けても、交響曲やソナタだと、眠くなるのも当たり前。
:じゃあ、やっぱりダメじゃないのよ〜。
:だから、ルールを理解すればいいのよ。
:どうせ、そのルールってのが難しいんでしょ。 私、作曲家のことも、楽器のことも、よく知らないし。
:まあ、たしかに細かいルールはいろいろあるわ。でもじつは、あるひとつのルールさえ理解すれば、もうクラシックはわかったも同然。
:ひとつのルールって?
:それは、「形式」よ。
:「形式」?
:クラシックには決まった「形式」がいくつかあってね、その代表が「ソナタ形式」。
:「ソナタ形式」、名前は聞いたことがあるなあ・・・
:なーに、ちょろいもんよ、音楽の形式をいくつか理解してしまえば、
クラシック音楽のほとんどは一度聴いただけでわかるようになるんだから。 これはちょっと快感よ。
:快感ねえ・・・
:そう、「形式」さえ、押さえておけば、音楽史も作曲家も楽器も、な〜んにもわかってなくても、退屈せずにクラシックを聴けるわよ。
:ホントかなあ・・・?
ホントホント、それに「形式」って言うと難しく感じるけど、どんな音楽にも形式はあるのよ。ロックにも、ポップスにもね。
姉さん、ロックなんて聴くの?
♪あ〜い、きゃ〜ん、げーっ、ぬぉお〜〜♪
ひいいいいっ!! わ、わかった、は、話は聞くから、歌うのだけはやめてえぇ! (す、すごい音痴だ・・・)
それでは、始めるわね。 次のページへ行きましょう。→ 次のページ「ソナタ形式なんてこわくない」へ
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(05年7月 記)