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(素人による音楽形式談義・第9回)


4.ソナタ形式の復習です

 

ここまで、色々な音楽形式を聴いたわね。

わたしの好きな「バイキング形式」がなかったんですけど。

ホテルの朝食かいっ!

定番のツッコミ、ありがとう。

とにかく、以上の形式をマスターすれば、クラシックの曲はほとんど聴きこなせるわけ。

やったー。 やれやれ、これで終わりか。 ひと眠りしよっと。

その前に、いちばん大事なソナタ形式の復習ね。

うげげっ!

ソナタ形式とは、

    提示部(第一主題→経過部→第二主題→小結尾)
     
    展開部
     
    再現部(第一主題→経過部→第二主題→結尾部)

   だったわね。 前にこのページで話したけど、おぼえてるかな?

もちろん!! ・・・・・ほとんど忘れてます〜。

そんなことだろうと思った。 では、この曲を・・・。


ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調「月光」第1楽章


「月光」第一楽章は、よく幻想曲風とか自由な形式とか言われるけど、実はシンプルでかっちりしたソナタ形式なの。

へえ〜、そりゃ、げっこう・・・じゃなかった、けっこうなことで。

文中のタイミング表示は、このCDによっています。 二十世紀の鬼才・ホロヴィッツの、意外に素直な名演です。
   



Amazon.co.jp.:Horowitz Beethoven Sonatas


ベートーヴェン「月光ソナタ」第1楽章

曲は、夢見るような分散和音のイントロで開始。 
   ソナタの冒頭にゆっくりした楽章をもってくるのは、古典派時代としては大胆なアイディア。
   ただ、それが単なる思いつきでなく、至高の名曲になってしまうのがベートーヴェンのすごいところね。
   さて、0:24から、ひそやかに呼びかけるように第一主題が(嬰ハ短調)。 



静かな湖面に月の影が映る情景というわけね。

経過部代わりに主題が調を変えて繰り返され、1分13秒から、呼びかけと応答のような第二主題(ロ長調)。



・・・・第一主題と大して変わらないじゃん。 伴奏おんなじだし。

この楽章は、こういう雰囲気で統一されてるんだから、これでいいのっ! とにかく第二主題なのデス。
   1:51、第一主題が再び現れるところから展開部(小結尾はなく、提示部の繰り返しもなし)。
   第二主題を思わせるフレーズが高音と低音で歌い交わされたのち、曲は分散和音のさざなみの中へ。

だんだん眠くなってきたよ〜。

3:24、第一主題が原調(嬰ハ短調)で再現されて、再現部の始まり。
   第二主題は4:08から、提示部ではロ長調だったけど、再現部ではちゃんと嬰ハ長調になっているわ。
   結尾部では低音部に第一主題が現れ、曲は夢幻のかなたへ消えてゆくように終わります。

うう〜、私の意識も夢幻のかなたへ〜。

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第14番「月光」について

1801年、ベートヴェン31歳のときに書かれた曲。
   「月光」というタイトルは、レルシュターブ(1799〜1860)という詩人が、
   第一楽章を「ルッツェルン湖の月光の波にゆらぐ小舟」と評したことからついたもの。
   ベートーヴェン自身は全く関知してないし、第一楽章以外にはあてはまらないんだけど、
   いつの間にかソナタ全体のタイトルになっちゃった。

それじゃ、他の楽章はどんななの。

第二楽章はメヌエット風の三部形式、リストが「二つの深淵の間に咲いた一輪の花」と評した可愛らしい楽章。
   第三楽章は嵐のようなソナタ形式の楽章。 緊迫感たっぷりで盛り上がること盛り上がること。

 第三楽章
 

今度全曲聴いてみまーす。

さあ、次で締めるわよ。 題して「最後の挨拶」! → 次のページ「最後の挨拶」へ

(06.1.10.)




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